Error: Contact form not found.

スリーエコ・ニュース (Srieko News)

Vol.62 – 罰金大幅アップRs25,000へ!スリランカの交通事故は減るのか?

November 29, 2016 at 9:30 am

Sunday Times 27Nov2016

皆様

 

日本は日に日に、寒さが身に染みる季節になってきたことと存じます。先週は東京に気の早い雪が舞ったと友人から便りがあり、ほんの2週間前の東京は、汗ばむほどだったのにな~~と短かかったですが、楽しかった滞在を思い出しました。

あと数日で師走(12月)です。今年一年の締めくくりの月、今年が有意義な一年だったと言えるよう、もうひと踏ん張りといったところです。

 

さて、常夏のスリランカは、毎年11月に次の年度の国家予算の策定を行います。

国家予算の策定は、通常歳入、歳出の調整となるわけですが、、この国では歳出を削る案は、利権が絡みほとんどありません(笑)ので、歳入を増やすための税制、税率改定となります。

税率の見直しに伴い、早速狙われたのが、私がこよなく愛するビール...ライオン・ラガービールは11月より500ml缶で1本Rs200のものがRs230へ値上げ!タイガー・ラガービールは500ml缶で1本Rs230のものがRs270へ値上げ!その他諸々のものが値上げ...といった悲しい状況です。

大した値上げではないように見えますが、1日2本を基本とする私にとっては、ビールだけで1か月Rs1800の負担増、1年で約Rs22,000の負担増となるわけです...まあ、スリランカから一時ビールが消えたことを考えれば、飲めるだけでも幸せ!?と考えたほうが、精神的には良いかもしれません。...そういった心理に政府は付け込んでいるのかもしれませんね(笑)

IMFから多大な借金(前政権の負の遺産)をしているスリランカ、国家財政の改革を迫られている政府としては、財源の確保のため、増税は仕方のない事なのかもしれません。しかし、一般庶民を苦しめる歳入のアップだけではなく、大臣が50人以上いる政府や、その下で働く政府職員、公務員の人員見直し等の、歳出削減案も同時に聞きたいものです...ついでに、多くの公務員に対する、不公平な車の輸入税免除の廃止など行ったら、一般庶民は増税も納得るのでは....

 

ところで今回はその増税にからむ話ではありませんが、今日のスリランカを理解する上では「大変わかりやすいお話!?」を一つ、11月27日のSunday Timesに書かれていた内容に、私情を絡めてご紹介いたします。trafic-fines-2-200

お話は先週、運輸省、財務省、警察局より出された罰金の引き上げに関する内容で、交通事故を減らし、交通安全を確保するために、主要交通違反7項目に対して罰金を一律Rs25,000にし、他違反も順次罰金を引き上げるといったもの。

日頃、ルール、モラル、マナーを無視して運転している、ほとんどのスリランカのドライバー達には、歓迎すべき薬(特効薬)と言いたいのですが、どこまで実施できるかが問題! 早くも殆んどのバス協会や他関連協会が反発して、ストライキ、ボイコット行為に出る模様です。

なんせ大臣が50人以上もいる国です。それぞれの利権が絡み、それぞれの立場から議論をするのですが、結局何も決まらず、案が立ち消えになるのがこの国の常!!今回は人の命の安全がかかっているだけに、ぜひ進めてほしいものです。

 

<主要交通違反罰金引き上げ案>

● 保険を携帯せず運転した場合、新罰金Rs25,000(旧罰金Rs5,000)

補足:1か月前にぶつけられた。ぶつけた車(トラック)のオーナーは、保険に入っていなかった。
● 左側より追い越しをした場合、新罰金Rs25,000(旧罰金Rs500)

補足:スリランカも日本と同じ左側通行です。道の無い所を左から無理に追い越しされ、冷っとした事が何度もある。
● スピード違反をした場合、新罰金Rs25,000(旧罰金Rs1,000)

補足:大きな車(バス)ほど、乱暴で高速な運転をする、運転していて彼らを避けるのに一苦労。
● 運転手の運転免許が失効している場合、新罰金Rs25,000(旧罰金Rs1,000)

補足:当たり前の事、いう事はない。
● 酒気帯び運転をした場合、罰金Rs25,000(旧罰金Rs5,000~7,500)

補足:酒気帯びの取り締まりをほとんどしていない。
● 免許不携帯の場合、新罰金Rs25,000(旧罰金Rs2,500)

補足:当たり前の事、いう事はない。
● 線路横断ルールを守らなかった場合、新罰金Rs25,000(旧罰金2,500~500)

補足:遮断機が下りていなければ、ほとんどの車は停止しない。

 

上にあげた主要交通違反7項目は、運転するうえで最低限のルールとモラル、マナーだと私はおもいます。

車は便利ですが、使い方を間違うと人を簡単に殺す凶器となります。...殆んどのバス協会や他関連協会が、何故ストライキやボイコットをする程、反対しているのか大変理解に苦しみます。彼らは違反ありきなの集団なのでしょうか?いや、罰金が高すぎるどうのこうのと言っているようですが、違反をしなければよいだけの話!ルールを守ればよいだけの話ではないのでしょうか!?

 

<スリランカの交通事情>

スリランカの交通事情は、インドほどではないにしろ劣悪を極め、毎日多くの人が交通事故で亡くなっています。

2009年の内戦終了後、地価が上がり、その恩恵を受けた人々が自家用車を持つことが可能になり、コロンボを中心に、ここ7年ほどで車が急増しています。スリランカをご旅行された人は分かると思いますが、高速道路などの道路インフラが十分でないスリランカでは、狭い道にバス、トラック、ジープ、乗用車、オート三輪、トラクター、牛車、バイク、自転車人、牛、犬がひしめき合い、混沌を極めた状況です。交通ルールはあるのですが、ルールはルール!守るのが馬鹿らしくなるほど...一部の車を除いてほとんど守られていないのが実態、特に大型、中型のバス、トラック、バン、大型SUV(ジープタイプ)など大きな車は制限速度を守らず、狭い道を高速で縫うように走り、車間距離を取らず、パッシングやクラクションを鳴らし、「退け退け退けっ!!!」と、まるで運転で憂さを晴らすがごとく、危険極まりない運転を平気でしています。必然的に車と車、車と人の接触事故が起こり、死亡事故になる事も多々...狭い道路は野次馬と車で大渋滞となり多くの人に迷惑が掛かります。そして亡くなった方のご家族はもっと....

私達がスリランカを訪れ始めた、1998年から内戦終了前後までは、このような事はなかったのに...仏教の教えに基づき、半ばは他人お幸せを、半ばはわが身の幸せを考える、おおらかな人々はどこへ行ってしまったのでしょうか...10年そこそこで、人はこんなに変わるものなのか?内戦で押さえつけられていたものは大きかったにせよ、自分だけよければ、楽しければそれでよい!他の者なんか知るか!?という自己中心的な社会は、大人が集う社会ではないと思います。自身で運転するたび、今のスリランカにはあまりのモラルとマナーの低さに悲しみを覚えます。

「何をそんなに急ぐのか?...時間に間に合わない!...なら何でもっと早く家を出ないのか?...スピードを出せば間に合う!...それで事故を起こす!!...人に迷惑をかけ、自身はすべてを失くす」 ...この国の人達には、社会生活の中での「ルールを守る大切さ」、「人の命の大切さ」、そして何より「弱者を思いやる心の大切さを」思い出してもらいたい...互いに思いやる心から、より美しく調和がとれた国の発展があるのだと思っています。アジア人なら、当たり前に出来ることだと思います。

 

2016年11月28日

山倉 義典

|

お問い合わせ