11月20日 スリランカの経済再生、非協力的な某国👦
2022年11月20日/Srieko配信
壊滅的な財政破綻を起こし右往左往しながら再生中のスリランカ、ここ2か月程はガソリン購入で行列が出来ることも無くなり、停電時間も日に2時間程と生活的には極度に大変だった状況は脱出しつつあるように見えますが、下の図のように電力供給の70%以上を水力発電に依存しており、化石燃料発電(油・石炭などの火力発電)依存率が極端に下がっているための「見せかけの平穏」のように感じています。
これからスリランカは乾季を迎えるため、水力発電力が大幅に減ると予想され、一刻も早く燃料を買う外貨を集めないと、再び燃料不足による停電10時間以上、ガソリン購入に数キロの行列と言った地獄のような状況になるとも限りません・・そのカギを握るのが中国・・
*電力供給内訳(2022年11月19日データ)
スリランカ政府としては、なんとかIMF再生融資を開始にこぎつけ、世界各国からの信用を回復し、世界銀行・アジア開発銀行、世界の国々・投資家などから融資、投資を集め一刻も早く世間一般で言われる「普通の経済状態」に戻したいところですが、最大手の債権国中国がスリランカの債務再建交渉に非協力的な態度を取り続けているため、債務再編を最大条件とするIMFからの融資開始は、なかなか最終決定となりません。ということでスリランカの経済的綱渡りは今後も当分続きそうな勢いです。
現地新聞Daily Mirror紙にて 、スリランカのIMF交渉状況が配信されていましたので、以下の内容にて概要を共有したいと思います。
◆中国の非協力的な態度で、IMF融資を確保するための約束期限(本年12月末)を逃す可能性が高い。
原文 Sri Lanka likely to lose IMF deadline due to China’s lack of interest
●9月1日、スリランカはIMFと29億米ドルの融資支援で実務レベルの合意をしていた。
●IMFは融資条件の一つとして債務の持続可能性の確保が重要であり、債権者側(国際機関、二国間、個人など)と債務再編が必須との立場。
●在スリランカ日本大使館大使は、日本はスリランカがIMFと最終合意に達することができるよう、債務再編の交渉プロセスを支援する立場にあると述べ、インドと日本はすでにスリランカと債務の再構築に関する対話を開始。
●スリランカの債務(二国間の投資又は融資・個人の投資又は融資・ADB等公共機関の投資又は融資など大きく分けて3種)は500億米ドル以上と言われており、その内二国間債務は約140億米ドル(2022年6月時点)、特に中国との二国間債務は73億米ドル(約52%)と二国間債務全体の半分以上は中国。
*二国間債務内訳(2022年6月)
●二国間債務者最大手である中国の非協力的な態度で、スリランカはIMFの融資を確保するための約束期限(本年12月末)を逃す可能性が高い。これを逃した場合2023年3月まで融資開始を待たなければならない。
●12月に待ち望むIMF融資を確保できなければ、スリランカは経済と政治の面で大きな困難に直面する事になる。
●10月31日、ラニㇽ・ウイクラマシンハ大統領は、融資を獲得するために債権者と協議を行う事は長い道のりになりそうで、11月中旬までに債務再編の合意に至り12月中旬にIMF理事会で審議されれ事を願うが、中国とは第20回全人代の影響で交渉が進んでいないと述べた。
●スリランカの経済危機は、ラジャパクサ政権により失政、放漫財政、汚職疑惑に起因する。ラジャパクサ政権は中国より11%の高利で融資を受け、中国の援助でノロチチョライ発電所など数々の大規模施設建設を行い、これらの「ホワイトエレファント」プロジェクトは、スリランカを今後少なくとも5年間は回復の見えない経済ブラックホールに深く陥れた。
*写真はハンバントタ港、某国のスパイ船入港(2022年8月)
●中国はプロジェクトの投資収益性や有効性を評価することなく巨大な融資を行ったため、スリランカを「債務の罠」に引きずり込んだと世界的に非難されているが、中国はこのような疑惑を否定している。
●シハン財務大臣の話では、IMF融資の開始可否時期は、主に中国との二国間融資再編の決定次第であり、二国間融資債権国(中国、インド、日本など)で中国だけがスリランカの要求に対し非協力的である。ウイクラマシンハ大統領はCOP27会議で、12月中に再編合意できるよう中国、日本に再度求めた。
●複数の市民団体がコロンボの中国大使館を訪れ、スリランカの債務再編の取り組みを支援するよう中国に要請した。しかし、在コロンボ中国大使館は、市民団体からの手紙の受け取りを拒否したと伝えられている。
記事の様に中国の非協力的な態度で、スリランカのIMF融資は暗礁に乗り上げていると言って過言ではないでしょう。
*写真はイメージです。
外貨獲得待ったなしの状況・・外貨が喉から手が出るほど欲しいスリランカ政府は、ロシアに接近しロシアからの直行便(アエルフロート)を再開、徴兵を逃れるロシア人のスリランカ滞在を公然かつ大々的に呼び込んでいます。また、滞在者にはロシアからスリランカの銀行への外貨送金が有れば、口座を開設出来(通常外国人は口座開設できない)、カードを発行するサービスまでしています⇒これは何を意味するかと言うと、スリランカに口座を作りスリランカの銀行に潤沢な外貨送金さえしていれば、ロシア人は西側の経済制裁をのがれ、スリランカ以外の西側諸国でもカードを使えるという事では?・・そんな事をしていれば、何れスリランカの銀行も西側諸国の制裁対象になるのでしょうが・・
中国に魂を売り、またロシアにも魂を売ろうとしているスリランカ、アメリカを始めとする欧米諸国の反応が気になります。
中国との債務再編が上手くいき、債務の持続可能性の確保されたとしても、米国を始めとする西側諸国の逆鱗に触れIMF融資がなかなか始まらないといった状況にならなければ良いのですが・・本当に心配しています。
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