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5月30日 ガソリン価格推移から見る国民の困窮👦

2022年5月30日/Srieko配信 

 

最悪の経済危機に直面するスリランカは5月18日、30日間の債務返済猶予期間が過ぎ、遂にというかやっぱりというかデフォルトしましたね・・

デフォルト自体は4月12日の「対外債務の部分的支払い放棄宣言」で、外貨を必需品(燃料・薬・食料など)の購入に充て、対外債務は当面返済できないと政府が宣言した通りでしたので、既に市場は織り込み済みだったようです・・

燃料など政策的な価格アップは若干あったものの、急激な通貨安などの混乱はありませんでした・・今年に入り、ほぼデフォルト状態で急激な通貨安や超インフレがおきていましたので、スリランカ経済は既にデフォルトによる混乱を先取りしていた感じでしょうか😊

さて、独立以来最悪といわれる経済危機の元凶「債務の罠」の現況を作った、ラジャパクサ一族のマヒンダ・ラジャパクサ元首相の退任を受け、5月12日野党UNP(United National Party)のラニル・ウイクラマシンハ氏が新首相(一つ前の連立政権を含め今回で2回目)として就任し、前首相の内閣が行ってきた杜撰な財政運営内容を「国民への約束」という形で明らかにしました。

歳入の割に歳出が肥大化しており、公官庁にさえ費用が支払われていない現状、燃料など補助金の垂れ流し、スリランカ航空など国営企業の赤字垂れ流し等々・・一般に公表された内容は一言で言うと「放漫財政運営」といって良いでしょう・・

 

 

今回は放漫財政運営の中でも、市民生活に直結するガソリン価格の動向に特にフォーカスして、ここ一年の価格推移と当時の出来事を見ながら、あ~でもない、こ~でもないと話を勧めたいと思います。

 

◆ガソリン価格(92オクターン)推移と当時の出来事

*黄色枠が92オクターン・ガソリン価格の推移

 

①-2019年9月10日 1リットル137ルピー:ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領一族政権開始の直前の価格で、この時は原油価格が底値安定しており、それから 間もなくコロナ・パンデミックが始まった事から、その後2年近く価格は安定。

②-2021年6月11日 1リットル157ルピー:コロナの終息が見え始め世界的に規制緩和が始まり、経済が動き始めた事によって原油価格が上がり始めた時期で、スリランカ政府がインフレ抑制の目的で、意図的にルピーの固定為替取引(USD1.0=200ルピー)を始めた時期に重なります。有識者が外貨準備高減に警告を出し始めた時期です。

③-2021年12月20日 1リットル177ルピー:固定為替取引の影響で、ルピーの市場為替取引レートと固定為替取引レートのギャップが拡大、USD1.0に付き50ルピー以上と言われ、外貨(送金・投資・貿易)収入が急激に減り、外貨準備高は危機的状況になった時期です。

④-2022年3月11日 1リットル254ルピー:外貨不足が激しくなり、長時間停電、ガス・ガソリンを始めとする燃料、医薬品、食料の不足と急激なインフレ、市場為替取引レートと固定為替レートのギャップに耐えられず、変動為替制へ急遽戻すも、急激なルピー安が進行し、それに伴いガソリン価格もアップ、一般市民は政府への抗議行動を始めます。

⑤-2022年4月18日 1リットル338ルピー:ラジャパクサ大統領一族政権に対する市民の抗議活動が全国で活発になり、大きなデモ活動が行われ、次々に一族とその取り巻きが退任させられた時期、また4月18日は対外債務償還期限の日でしたが返済できず、30日の猶予期間に突入。ルピー安続伸。

⑥-2022年5月24日 1リットル420ルピー:5月に入りラジャパクサ大統領の兄、マヒンダ・ラジャパクサ元首相がやっと退任し、新首相にラニル・ウイクラマシンハ氏が就任、前首相政権の「放漫財政運営」による危機的財政状況と問題点を国民に公表、この値上げは政府補助金の相殺調整(1リットル84ルピー)によると思われる。5月18日に30日の猶予期間でも対外債務を払えずデフォルト確定。

 

 

●考察

*物価は上がれど、収入は上がらず・・

①~⑥のデータから、ここ1年弱でガソリン価格は約3倍となっており、なるほど米・小麦・魚・肉などの基本生活必需品の物価上昇(約3倍~3.5倍)とほぼ一致します。一方、原油価格は一年前と比べルピー建てで約3.7倍になっていますが、ガソリン価格はそこまでアップしていない事から、精製に関わる人件費は相当抑えられているのではと予想され、「給料は推して知るべし」と言えるでしょう。

*1リットル500ルピーはすぐそこ・・

⑥の政府補助金の相殺調整により、1リットル420ルピーとなりましたが、変なフィルターが無くなり、原油価格・為替を加味した真の実力値として今後のベンチマークとして使え、今後デフォルトの影響でルピー安進行、原油価格の更なる上昇が続くと・・例えばUSD1.0=400ルピー、原油価格1バレル=USD120になった場合、ガソリン1リットル500ルピー以上の時代がそこまで来ています。

 

●市民生活の逼迫

スリランカ人一般中流家庭の月収が10万~15万ルピーと言われていますが、物価は1年前の3~4倍・・つまりは給料が差ほど上がらない=実質月収は三分の一から四分の一に激減しており、一般市民の生活苦が理解できます・・

ちなみに通勤などで車やバイクを使用することの多いスリランカ、一家でガソリンを一か月100リットル消費するとすると、その家計に占める割合は3~4割となり、他光熱費、教育費・食費・雑費を考えれば、これ以上のガソリン価格アップは、家計崩壊を意味します。

また、下層の家庭では既に一日一食の生活の家も出てきている事を考えると、待ったなしの状態と言えるでしょう。

 

 

そんななか、ロシア産原油を輸入というスクープが世間を賑わせていますが、スリランカは、ここ半年ほどインドから信用取引で原油・精製油を活発に融通してもらっていますので、国内で流通している燃料のほとんどは、インドから来てるとはいえども、ほぼ間違いなくロシア産・・既にロシア産にどっぷり漬かっている状況なのです。

また、ロシア産原油を積んだタンカーも、支払い待ちで数週間コロンボ港沖に停泊させられていたことを考えると、今さら「帰れ」ともいえず、どうしようも出来ない状況と言えます。今回の輸入は国際的道義上どうかと思われますが、短期的には安い原油の輸入は歓迎といったところでしょうか!?・・おかげで2か月以上停止していたサプカスカンダ精油所は5月28日より稼働再開できており、ガソリン不足も少し解消しそうです😊

 

●今後の展望

新首相に就任したラニル・ウイクラマシンハ氏は経済相も兼任し、日本をはじめとする欧米諸国と対話、G7を始めとする各国からの経済援助の動きが活発化しています。一方、IMF再生プランについても、ラニル氏が経済相として交渉に当たっており、早ければ6月~7月に導入開始し融資が始まりそうです。😊

だだし直近で一番大事なのは、某国との蜜月の終わりと言える「債務の再編」と大型プロジェクトの一時休止を始めとする「緊縮財政」だと思います・・膨大な債務「債務の罠」を高金利で負っている以上、IMFの融資があろうと砂漠に水を撒くがごとしですので「債務の再編」は急務であり、また経済規模に基づいた財政再編「緊縮財政」も同様です・・ラジャパクサ一族が監修した飾られた経済成長(バブル)と決別し、自国経済の現状と実力を理解し足元を見つめ、分相応の生活を心掛けることが再生の早道かと思います・・30年続いた内戦中ですら市民の生活はいたって普通だったのですから・・

 

 

住んでいる私が言うのは何ですが、東西のシーレーンの地政学上重要地点にあることから、東西文化が合流し融合してスリランカ独特の文化を形成しています。その2500年以上の文化と熱帯の大自然が奇跡的に調和するスリランカは魅力のてんこ盛りといって良いでしょう・・まだまだ捨てたものではありません・・ここ半年~1年程は本当に苦しい時間が過ぎるかもしれませんが、きっと日本を始め世界の国々からの助けがあれば復活できるはずです。

ラニル新首相の言う「この国すべての人々と、若い世代の未来を救うために」私も一助出来ればと思っています。

 

 

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