6月8日 アエロフロート機差し押さえ、他・・👨
2022年6月8日/Srieko配信
いや~スリランカいろいろ起きますね・・特にデフォルト後、ラニル・ウイクラマシンハ新首相に代わってから、頻度が上がっている様な気が・・これも新政府が内外に対して激しく動いている結果なのかもしれません。
ここ一週間程でも興味深いニュースが盛り沢山、アエロフロート機の差し押さえ命令から、IMF融資の駆け引きまで、今回は浅く広く見ていきたいと思います。
◆アエロフロート機差し押さえ命令
ロシアのウクライナ侵略戦争が始まって100日以上が過ぎました。欧米の航空機リース会社がロシアの航空会社にリースしている機体を返してもらえないという話を覚えていらっしゃる方は多いと思います・・いわゆる欧米諸国の経済制裁としてリース契約の解除を行ったのに、ロシアは対抗処置として航空機を返さず、国際問題になっている件ですが、この件に関してスリランカでひと悶着起こってます。
6月頭、スリランカに滞在するロシア人旅行者200人弱を迎えに、コロンボ国際空港にフラフラやって来たアエロフロート機A330・・「飛んで火にいる夏の虫」とばかり、原告アイルランド・リース会社の訴えで、着陸したばかりのアエロフロート機に対しコロンボの高等裁判所より差し押さえ命令が出され、スリランカ外務省と在スリランカ・ロシア大使館を巻き込んで国際問題が起きました。
ラニル新首相は、「この件は航空会社とリース会社の企業間解決すべき問題で、国家間の関係に影響はない」と所見を述べていますが、今やロシアの観光客はスリランカにとって一番のお客様、おまけに経済危機で燃料不足の中、5月末より(インド仲介で?)安いロシア産原油に頼っている仲・・またロと友好関係にありスリランカに大きな影響力のある中国も介入して、案外早くリリースされるかも!?と思っていたら、案の定、今週早々に「裁判所の差し止め命令を保留」という予想通りのスッキリしない結果・・アエロフロート機は、あざ笑うがごとく悠々とスリランカの空を旋回しモスクワに帰っていきました。
IMF融資(交渉中)が始まるまでの間、つなぎ融資として日本をはじめとする西側諸国の融資が必要な時に、西側諸国の行うロシアへの経済制裁と逆行するスリランカの当行動は、中ロ二人羽織連合喜ばせるだけで、西側諸国にとっては減点の対象と言えるでしょう・・「債務の罠」で経済危機が起きている事を、新政府はもう忘れたのでしょうかね!?・・傾中国を改め、日本・西側諸国との関係改善を掲げる、スリランカ新政府の腹の座り具合はこの程度だとすると、ラジャパクサ独裁政権の前の、連立政権時代の録画を見ているようで、今後がたいへん不安になります。
◆IMF融資の駆け引き
ラニル・ウイクラマシンハ―新首相は経済相も兼任し、IMFと融資交渉を加速させています。
この融資交渉で問題になっているのが、510億米ドル以上と言われる巨大対外債務の再編(債務整理・償還期限見直し・利払い見直しなど)・・この国の対外債務は、国際機関(IMF、ADBなど)からの融資の他、日本(約50億米ドル 平均利率1%未満 償還期限29年)・中国(約50億米ドル 平均利率約4% 償還期限9年)・インドをはじめとする二国間融資で構成されていますが、債権国の一つである中国がこの債務再編に猛反対しており、IMFとの交渉は難航・・予定していた中国から融資15億米ドルの与信枠が使えず、スリランカ新政府は苦しい局面を迎えています。
まあ巧みに「債務の罠」に陥れ、スリランカを属国のごとく一帯一路構想の衛星国に組み入れようとした大国中国にとって、金額的に些細も無い債務再編でごねるのは純粋にお金の問題ではなく、クワッド・IMF再生プランや西側諸国の融資による中国包囲網への警戒と、スリランカへの脅しと考えられます・・デフォルトを契機とし、スリランカを舞台とした中国 対 IMF&西側諸国との、いわゆる経済代理戦争が始まりつつあると言えるでしょう。
IMF再生プラン無くして、スリランカの復活はありません・・これは「債務の罠」で起こった経済危機からスリランカ国民が得た実体験に基づく教訓です・・民意反映を新政権が公約するのであれば、傾中国を改め、日本・インド・西側諸国との関係改善を加速していかなければなりません・・新政権は国民の基本的生活を維持するために今後6か月で約50億米ドル(燃料輸入33億米ドル・食料輸入9億米ドル・調理用ガス輸入3億米ドル・肥料輸入5億米ドル)必要になると試算しており、中国とも先ほど述べた15億米ドルの与信枠条件を交渉しているらしいですが、中国と融資交渉を続けている場合ではなく、同じ轍を踏まないためにも、その辺の腹をしっかり括るべきです・・
さもなければIMF&西側諸国は決して安易な融資はしないでしょう、融資したお金を、中国の高利返済に使われてはたまったものではありませんからね~高利の闇金に追い込みをかけられている多重債務者に安易にお金を渡したら・・と考えればイメージがわきやすいと思います。
◆税制改革・国民の痛み更に深まる・・
さて、あまりに放漫運営をしていたラジャパクサ独裁政権のつけが、外貨準備高不足に並び今回の経済危機の一要因、「入るを計りて出を制す」というのは経済の基本中の基本・・財政は火の車なのにジャブジャブ支出し放題の放漫経営で、財源が無くなると、兌換性のないお金を刷っては配るの繰り返し・・これで金利を下げてるんですからインフレが起きない訳がありません。結局外貨不足と相乗し巨大なトルネード並みの経済危機が起きてしまったわけです。
IMF再生プランを交渉中の新政権は、今後の財政運営についてIMFよりかなり指導を受け入れたのでしょう。5月の新首相就任後、政府は半月間という速攻で税制を刷新し6月頭より順次実施を始めました。
●消費税(VAT)引上げ8%⇒12% ●法人税引き上げ24%⇒30%(10月から) ●個人所得税免税額見直し等々、歳入の強化と、歳出の合理化を計りながら、財政の再構築を進めていくようです(税制はほぼコロナ前の状態に戻した感じ)・・現在の急激なインフレに輪をかけるような増税で、差して給料の上がらない一般市民にとっては当面辛く耐えがたい時が続くと思われます。
元々、経済危機を引き起こした元凶と言えば「債務の罠」・・市民生活とは関係の薄い、遠くて勝手の悪い港湾・空港、先行き不透明なコロンボの埋め立て地などの巨大インフラ事業に注ぎ込んだ資金は負債として高利を伴いながら雪だるま式に膨張し、深刻な経済危機を引き起こし、ついに対外債務の償還が不可能となり国家破産・・既に負債のかたに港湾、埋め立て地は中国に接収され、国民に残ったのは巨大な対外債務・・この債務をなぜスリランカ国民が払わねばならないのか?一度立ち止まってよく考えた方が良いと思うのです。
こんな国益になってない三大バカ事業の尻ぬぐいは、本来なら当事者のラジャパクサ一族がすべきだろうと思うのです。それなのに国民の退任要求行動をガン無視し、任期まで辞めないと未だに大統領の座にしがみつく、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領・・増々市民の抗議デモは活発化しています。
◆電気料金値上げ・・
これが無いと、もはや人として生活出来ないというぐらい大切な電気、エジソン先生にはずいぶん感謝せねばという話はさておき、原油価格高騰と急激なルピー安を受け、セイロン電力庁の収支もおかしくなっているらしく収入2,770億ルピーに対して支出は7,550億ルピーと収入の約3倍でこれもかなりの放漫経営・・2014年以来8年ぶりの値上げとなりそうですが、値上げ率や加重率を巡って大消費者である保税区(FTZ)の工場側とひと悶着・・
工場側は電気料金の値上げは認めつつも、急激な大幅値上げ(3倍~4倍)は事業的に成り立たなくなり受け入れられないと言っており、電力庁側は採算を考えると少なくとも2.5倍は上げる必要がある主張・・値上げ幅のせめぎ合いとなっています。保税区(FTZ)には外資系企業がほとんどで、今回の電気代上昇は今後の投資環境に大きな緊張と影響を与えると考えられ、また公共性の高い超重要インフラだけに、本件は重要案件として国会に持ち込まれるのか?結構気になるところです。
燃料不足による停電は。連日数時間続いており不便な毎日を送っておりますが、我が家も結構使うので、ぜひ穏便な価格決定にして頂けるよう政府にお願いしたいものです😊
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