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スリーエコ・ニュース (Srieko News)

Vol.117 – 続編 肥料でも中国戦狼外交・・結果 

November 1, 2021 at 3:42 am

スリランカ入港を迫る問題肥料を積んだ中国船(Daily Mirrorより)

 

【前号のあらすじ】

スリランカ政府は2021年4月29日、化学肥料とその他農薬の輸入禁止を決定し、現在も農民の反対意見を取り入れず完全有機農業改革を強行していますが問題続出・・遂に悪徳業者まで出てくる始末・・テレビ・新聞など大手メディアが連日報道して大問題となっています・・更にスリランカ農業省の公開入札により、緊急に必要とされる有機肥料の供給元として選ばれた中国、青島海員生物技術集団有限公司(以下、海員社)は、提出した肥料サンプル内にエルビニア菌を含む有害な細菌が含まれていると、スリランカ国家植物検疫局(NPQS)より指摘され、これに対して在スリランカ中国大使館が反発しています・・並行して、スリランカ政府は急遽インドから肥料輸入を始めています。

 

*戦狼外交で脅されるスリランカ

 

●出た~!!中国戦狼外交

スリランカ国内で中国政府のやりたい放題が止まらない!

前回号でも述べましたが、在スリランカ中国大使館は、一業者の輸入許可の話に首を突っ込んできて、スリランカ行政府の決定事項を曲げようとしています。

それも業者は、品質確認及び承認前の9月末に中国から船便にて出荷、肥料を積んだ貨物船は既にスリランカ近海で入港待ちというのですから驚き・・スリランカ政府は「絶対にスリランカには寄港させない」、「支払いはしない」と関係各省庁及び関係銀行へ指令を出していますが・・中国大使館の圧力は想定外に強いらしく、政府は品質の再検査を行う事を約束させられたようです。

更に中国の報復でしょうか、肥料のL/Cの支払いがされていないとし、対象のスリランカ市中銀行People’s Bank(ピーポーズバンク)をブラックリストに入れ、取引停止をにおわせ、スリランカ政府へ強烈な圧力をかけてきました・・このL/Cの支払差し止めを関係部署へ指示したのは、スリランカの裁判所であり市中銀行の意志ではない事は、中国政府も良く分かっているはずなのに・・この見え見えな対抗処置・・

 

*中国贔屓のマヒンダ・ラジャパクサ首相も珍しく反発

*もちろん農業相も入港拒否

自分達に非があっても、難癖をつけて外交問題まで発展させ相手を跪かせるやり方は、近年世界中でよく見る中国の戦狼外交、覇権主義そのものと言えるでしょう・・元々供給側の中国企業が契約通りの「普通の肥料」を輸出していれば何も問題のない話なのに、なぜ一企業間の問題に大使館がしゃしゃり出てくるのか?なぜこんな民間案件を外交案件にしたがるのか?・・「無理を通せば、道理が立たず」というように、「まがい物」を送り込んできて、金を払えとは、ならず者のやる事・・それも国家が率先してやっていますから質が悪すぎます!

もしスリランカ政府が、こんな理不尽な中国の難癖に屈する事であれば、今後スリランカの中国化が本当に心配になってきます・・そういう意味では、今回の件は今後の対中国政策に重要な局面だと思っています・・スリランカ政府、スリランカ国民は目を覚ましてほしい・・どんな理由かあろうと、跪いて中国の言いなりになっている政府や国民ではダメ!、「ダメなものはダメだ」とはっきり言い、誇り高きスリランカ国民の尊厳を示してほしいと思うのは私だけではないと思います。

頑張ろうよスリランカ!

 

追伸:11月12日

問題の中国製肥料は、スリランカ政府関係省庁の2回目の検査でも、有害物質が検出され、中国企業、中国大使館にその旨が通達され、輸入許可が下りていない。

一方、問題の肥料を製造している中国企業は、独自に自称「第三者機関」Schutter Global Inspection and Survey Companyの検査結果として、有害物質の無いクリーンな肥料であるという報告書を、スリランカのメディアにリリース、併せてUS$8百万の支払をスリランカ政府に求めている・・

また、在スリランカ中国大使館はスリランカ農業省と打ち合わせをしたが、同省は肥料の輸入は許可できないと伝えている。

*一部ニュースでは、問題の肥料を積んでいる船は、船名を変えハンバントタ港(債務の罠で中国に99年租借した港)に既に入港しているという報道もある、もしこれが本当なら国民を欺く大問題に発展してもおかしくない案件だ。

*また、11月14日のTVニュースでは、中国大使館員が僧侶を訪ね「スリランカは民間問題を外交問題にしている」と告げ口している映像が流れていたが、事の始めから中国大使館が首を突っ込み、スリランカの行政機関が出した民間問題へ、圧力をかけながら外交問題にしたのは中国側だ!南シナ海の問題もそうだが、自分達のやる事を正当化して、経済力をバックに他国へ自分達の論理を押し付けるのは、まともな国のやる事ではない・・治外法権を振り回す割に逆の立場になるとこの有様・・恥を知れと言いたい。

 

追伸:2022年1月8日

中国外相、王毅氏はスリランカ中国国交樹立65周年を記念して、本日1月8日にスリランカへ訪問、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領および兄のマヒンダ・ラジャパクサ首相と会談する予定である。

スリランカは、王外相が2日間の公式訪問のため土曜日に到着するのを前に、北京との軋んだ関係を修復しようと、1月3日に政府と中国企業が “和解 “に達したと発表し、高裁は命令を取り消した。また1月7日には問題の肥料代金690万米ドルの支払を行ったようだ。・・戦狼外交に屈し、さぞ国民は悔しい事だろう・・

外貨準備が急速に枯渇し、史上最悪の金融危機に直面している。12月末の外貨準備高はわずか31億ドルだった。今年は、国債の償還のために約45億ドルを支払うと予想されている・・品質不良の肥料にお金を使っている暇はないと思うのだが・・

 

【参考資料】

中国、スリランカPeople’s Bankをブラックリスト 10月29日Daily Mirror

不良認定された中国製有機肥料の再検査に合意 スリランカ政府 10月27日Daily Mirror

中国の肥料紛争 スリランカの国立植物検疫所 10月26日Daily Mirror

 

2021年11月1日 山倉義典

 

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