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スリーエコ・ニュース (Srieko News)

Vol.126 – スリランカ新大統領・政治経済の今後👦

August 1, 2022 at 8:15 am

 

国家財政破綻・深刻な経済危機が政治崩壊を招いたスリランカは、7月20日ラニル・ウイクラマシンハ(首相)の大統領就任をもって、これから政治・経済の再生へ一歩踏み出した状況です。

 

3か月以上に及ぶ、ゴタバヤ・ラジャパクサ前大統領の退陣を求る抗議行動は、コロンボを中心に7月9日全国的な民衆蜂起に発展、コロンボでは大統領府・大統領官邸・首相府が民衆に占拠され、押しかける群衆へ催涙弾・放水砲などが使用され、多くの負傷者がでましたが、元大統領は辞任を決意、国外へ逃亡・・スリランカ国民は再び自らの手でデモクラシーを勝ち取りました。

大統領国外逃亡という前代未聞の政局混乱の中、スリランカ政府は憲法に従い、7月20日に国会議員による選挙にてラニル・ウイクラマシンハ新大統領を選出、その週に新主要閣僚任命と一様の落ち着きを見せてきていますが、この新体制がしっかり機能することが重要・・特に外交政策と経済政策は、今後のスリランカの行方を左右する事となりますので、スピード感を持ったダイナミックな政策決定・遂行をお願いしたいものです。

早速、ゴタバヤ・ラジャパクサ前大統領の退陣を待っていたかのように、IMFを始めとするインドを含む西側諸国は新体制への協力的なサポートを表明、問題の某国も前向きなサポートを表明しておりますので、新政府は債務再編交渉を加速し、効果的な外貨融資を受けながら、緊縮財政を柱とした財政改革を進めて行けば、近い将来スリランカの復活を期待できそうです。

 

 

もともと大自然の美しさと、文化的奥行きの深さ、人の優しさ等が限りなく共存する島国スリランカは、インド洋に箱舟のように浮かぶ「奇跡の楽園」とも言われ、2019年の同時爆破テロ前までは、世界中から年々注目度の上がっていたホットスポット!・・コロナの後、経済危機と国内が安定しないため旅行客は低調ですが、国内が安定(燃料問題・停電問題等が解決)すれば、急激に観光客が戻って来ると予想され・・政府の外貨収入も大幅に改善される予想されています。

 

 

また国が安定し信用が増せば、海外出稼ぎ労働者からの母国スリランカへの外貨送金も増え、これも外貨準備高改善に貢献します。

更に少し時間は掛かり直ぐには無理かもしれませんが、IT資源などを中心とした南アジアの地政学的・人材的な強みを生かし産業構造を改革しながら他産業も並行して活性化させ、貿易収支の慢性赤字を解消する事が、外貨準備高に裏付けされた国の信用を回復する事に繋がると思います。

 

◆国として今直ぐに実行すべきだと思う政策(私案)

●債務再編・・国家破産を起こした国家として、債権国及び団体と債務整理の交渉を行い、債務返済を継続可能なレベルまで再編する。

●IMFを始めとする国際社会との融資交渉を行い、出来るだけ早く融資開始にこぎつける。

●国民の不信感を腐食し、国家の安定と信頼回復に努め、外貨を稼ぐべき国家政策に傾注する。

特に国家破産の状態なので、海外からの外貨投資は当面期待できないため、国家安定による海外出稼ぎ労働者からの外貨送金の推奨、外貨を稼げる旅行産業への注力(治安安定は必須)、外貨収支の有る輸出産業の活発化に傾注などに、まずは集中すべきである。

●国内税制を改革して、累進課税の強化、脱税・不正行為の監視強化・・政治的腐敗体質を排除し、お金持ちからしっかり徴税、財務体質を強化する。

●赤字を垂れ流す国営企業(例えばスリランカ航空など)は民営化を検討する。

●ポートシティー・プロジェクト等、巨大投資案件の見直しを国際投資機関の協力を得ながら公正に行い、回収の見込みが薄いものは即刻中止にする。

かくのような明確な政策を新大統領就任後、間髪入れず打ち出し、「国際社会からの融資と緊縮財政」という両輪で国家運営を行う事こそ重要と考えます。もちろん国民への政策の透明性・計画性そして進捗を逐次公開することを忘れてはいけません。

 

 

◆一般市民の困難はこれからが本番か

国は財政破綻となりましたが、一般市民の生活はどうなのでしょう・・

政府発表では600万人近くの国民が、食料不足の影響を受け十分な栄養が取れてないと言われ、燃料不足で調理用ガス・ガソリンが不足し、市民は薪を使って調理、自動車から自転車へと言われ久しいですが、スーパーでは一部空になった棚もあり、輸入品の品揃えも少なくなってきているものの、依然としてローカル製品はふんだんに有り、レストランは何処からガスを調達してくるのか普通に営業、ガソリンが不足している割には車は普通に走っています・・

一年前に比べガソリン・食料を始めとする物価は平均的に3倍以上になっているのに、夕方になるとスーパーには車やバイクで買い物客が押し寄せ、かなりのまとめ買い・・工員が終日働いてやっと2リットル買える「高価になってしまった」ガソリンを求めて、ガソリンスタンドには連日1㎞以上の行列・・いったい何処にこんなにお金が!?と不思議でかえって心配になるくらい・・デフォルトしたら急激なインフレと激しい物不足で、国内のありとあらゆる産業が影響を受け、多くの企業が倒産し、職を失った市民の生活は窮地に追いやられると予想していた自身としては、苦しさや不便さこそあれ「こんなもの!?」と言った感じです。

 

 

なぜこんなに余裕のある人がこの国には居るのか!?と家人に聞いてみるとさすがに鋭い意見・・「デフォルトの影響は、まだ始まったばかり」、「ショップやスーパーの店員、ホテルやレストランのスタッフから笑顔が消え、客も以前ほど多くなく暗い表情」だという・・きっと土地を売ったり、家を売ったり、車を売ったり、お金を借りたりと無理に金策をしているのかもしれません・・

物価抑制のため中央銀行の公定歩合は15%に引き上げられ、市中の借入金利は30%程になっている事から考えると、政府の発布しているモロトリアム政策(借金返済期限延期処置)の終わる頃から半年・一年以内に企業倒産や自己破産などが増えてくるのではと考えられ、市民は夜も眠れない悶々とした状態が続いているのではないでしょうか。

そういう意味では、ラジャパクサ一族が大型投資の失策で起した経済崩壊は、モロトリアム政策の終焉とともに今以上に拍車がかかり、個人・企業の倒産増加による不良債権が山積み、銀行を始めとする金融機関の倒産・統廃合が起こり、更なる経済後退を予感させます。

ラジャパクサ一族の政権退陣を受けて、IMFを中心とするインド・西側諸国との支援交渉が活発になって来ていますし、国民の生活を守るために支援交渉は急がねばなりませんが、蛇口が開いても器が穴だらけでは水は溜まりません、なおかつ不良債権という乾いたスポンジが器の中に何個もあっては・・一般市民の困難はこれからが本番かもしれません。

破産すれば市民の債務は棒引きとなりますが、それに耐えうる金融機関が有るのか・・金融機関の不良債権は歴史を見ても回りまわって市民への負担となるのが常でした。

 

 

◆スリランカは今日現在も全国に非常事態宣言が出ていますが・・

今回の非常事態宣言は、大規模デモ・前大統領の国外逃亡を受け、7月17日に暫定大統領としてラニル・ウイクラマシンハ氏が、治安・公共秩序の保護、地域社会の生活に不可欠な物資やサービスの維持のために発令したもので、7月20日新大統領選出、内閣再編を経て、7月27日にラニル・ウイクラマシンハ新大統領のもと、国会で一か月の延長承認が行われました・・という事で非常事態宣言自体は8月中旬まで続く可能性があります。

ただし、7月末から8月末まではスリランカの旅行シーズンとなっており、今回の国会決定には観光業界からは大きな反発が有り、早急な外貨獲得が必須の政府は、早々に非常事態宣言の解除を行う可能性もあります(スリランカでは良くあります)

また、国外(シンガポール)逃亡中のゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が8月中旬までに帰国するという情報もあり、それに対応するための非常事態宣言とも考えられますので、8月上旬が一つの判断のタイミングかと考えています。

まあ外出禁止令とは異なり、非常事態宣言が出ているからと言って、旅行者や一般市民の行動には特に影響はなく、旅行者も欧米人を中心にそこそこいらしていますので、注意は必要ですが、過度の心配は必要ないのではないかと思っています。

 

 

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安全に旅してこそ楽しいご旅行 by Srieko Holida

2022年8月1日 山倉義典

 

 

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