安倍首相スリランカ訪問！歓迎の伝統的な踊りは1kmに及んだ。（自宅近くカトゥナヤカ）

皆様

デング熱に恐れをなした（？！）夏も終わり、読書もスポーツも楽しめる日本の秋に、どのような毎日を過ごされているのでしょうか？

特に今年の９月は祝日が何日かあり、夏の疲れをとるには“待ってました！”の月であるかもしれませんね。

”待ってました！“はスリランカにも言えること。9月7日、日本の安倍首相がスリランカを訪れました。

かつて日本の首相がスリランカ入りしたのは、20年以上も前だそうですから、これは画期的なことなのです！ 特に安倍首相の祖父である岸信介前首相もスリランカを訪れたことがあり、その際、キャンディ（文化三角地帯）の植物園に植樹した木が今も残っているそうですから、安倍首相も時間があれば、その地を訪れてみたかったことでしょう。

しかし！VIP氏のスリランカ滞在は１泊のみ。時間にすれば、たかだか２０時間程度とあってはそんな優雅な旅などかなうはずもないでしょうが・・。

それから１週間ちょっとして、スリランカに別のVIP氏が訪れました！その人の名は？ 数年前に日本を追い越し、経済大国世界第二位に輝いた中国の国家主席です。

安倍首相の件で現地メディアが騒ぎ出したのは、訪問の1～2日前であったのに対し、中国の国家主席の話題は、8月から始まっていたものです。

決して滞在が長かったせいではありません。国家主席の場合23時間滞在と、安倍氏より多少長かったとはいえ、同じ1泊のこと。

日本がサンフランシスコ講和条約で、スリランカの元大統領ジャワルダナ氏に助けてもらったのが、1952年。（調印は1951年）5年ほどして、岸氏はスリランカを訪れています。

その後、スリランカと日本の関係は、同じ仏教国であることも関係し、それはそれは深いものでした。

1960年代シンガポールよりGDPが上回っていたというスリランカが、30年にも及ぶ内戦で“世界の最貧国の一つ”とまで西側から言われるほど荒廃していく中、日本人として、「日本は“井戸を掘った人”のことを忘れず、よくスリランカを助けてきた・・」と、誇りに思うくらいです。

しかし、内戦終了の2009年前後からスリランカは日本より中国との関係を強めていくことになり、数年前から駐在の外国人、レストラン、ホテル、投資プロジェクト・・ともう、あらゆる面で中国、中国・・となり、スリランカのイメージのオレンジと緑色が、真っ赤に染まってしまうのではないかと思えるほどです。

今回の訪問で、スリランカと中国の間で、２７の契約書に署名がなされたとメディアが報道しています。 どういうこと？どんな内容？と、お思いの方のために、国家主席の訪問に先駆けて載った某新聞の諷刺画をご紹介しましょう。

サンタクロース顔負けに、“プロジェクト”と書かれた大きな袋をいくつも背負って、飛行機から降りてくる国家主席を迎えるラジャパクサ氏は、記者にこう言います。 「心配いらないさ！プロジェクトは今！でも、支払いは後のことだから・・」と。

メディアの論点の一つは、中国がお金を貸してくれることをいいことに、この国の借金がどんどん膨らんでいくことです。

支払期限になったとき、どうなるスリランカ？かつてようやく勝ち取ったイギリスからの独立が、今度は中国による“経済支配型植民地”とならなければいいけれど・・。

ちなみに、安倍氏訪問直前の諷刺画は、ラジャパクサ氏が中国のために用意した長い長い赤じゅうたんを、慌てて“日本”と書かれたものに敷き直すというものでした。

日本側との会談で、ラジャパクサ氏のお顔が引きつっていたけれど、その理由は、相次ぐVIP訪問をこなす準備に追われていた疲労のせいですよね、プレジデント・・。

＜ご案内＞

NHKスペシャル「Hot Spot最後の楽園プロローグ」が10月11日19:30~20:45NHK総合で放送されます。プロローグなので一部ですがスリランカが放送されます。スリランカの本放送は2015年3月を予定。

時間を作ってみてくださいね！！

www.sriekov2.locも宜しくお願いします。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2014年9月24日

山倉　理恵子