Vol.121 – 激しい通貨安、独立以来最悪の経済危機!?
スリランカ中央銀行は、昨年10月来インフレ抑制対策として続けていた、ルピーの固定為替政策(USD1.0=LKR201~203)を断念し、先週末、突然即日実施で変動為替制に戻したため、急激なルピー安が進行中・・現在USD1.0=LKR260前後を推移、実勢からするとUSD1.0=LKR300付近まで下落の可能性が有ります。 これまでの経済省、中央銀行による「お粗末な金融政策」のため、外貨準備高が急速に減少していおり、1948年の独立以来最悪の経済危機を迎えているスリランカでは、連日の長時間停電、ガス、ガソリン、ディーゼル等の燃料をはじめ、輸入品の不足が顕著化・・パンデミックで疲弊した経済環境の中、急激なインフレ(スタグフレーション)が進行中・・更に輪をかけるように、先週末の為替政策変更による急激なルピー安を受け、ガソリン・ディーゼルなどの燃料価格が即反応、約1.5倍へ急上昇、今後他商品の価格へ大きく影響すると懸念されます。 しかし、あれだけ野党・有識者からの警告を無視し、固定為替制に拘ってきた中央銀行・経済省は、ここに来て事実上の金融政策の放り投げ・・公定レートと実勢レートの差が著しいルピーで、予告なく突然変動為替にすれば、現実問題として一般市民の生活に大きな影響が出る事は予想がついたはず・・中長期的に見れば、経済的には歓迎すべき事ですが、実施のタイミングと方法がこの為替政策変更の大問題と言えるでしょう。 今回の金融政策しかり、昨年の有機農業政策しかり、よくもここまで国内産業や市民生活を蔑ろにした政策を実施できるものです・・それも予告なく即日実施、即日廃止では・・市民感情は爆発寸前なのではないでしょうか。 そして、国の信用、海外投資家をあまりにも軽視し過ぎではないでしょうか・・国の信用が低く、投資環境(インフラやアフターケア)が整っていない国に、投資を行う企業や個人は少ないでしょう・・これでは外貨は集まりません。 【外貨準備高急減少の主要因】 ●疲弊した経済下、膨大化する対外負債と経済対策の不透明感から、スリランカ国債はフェッチなど大手信用調査会社で、ジャンク債並み(CCグレード)に評価され、外国からの投資が激減 ⇒ 外貨大幅減 ●極端な金融政策(固定為替政策)等による通貨流動性への影響で、固定レート(USD1.0=LKR201~203)と実勢レート(USD1.0=LKR270~300)との乖離が大きくなり、海外労働者の公式ルート送金が大幅に減少(闇ルート送金増) ⇒ 外貨大幅減 ●武漢ウイルス・パンデミックによる断続的ロックダウンで、国内産業の低迷、輸出業・旅行業など外貨産業の停滞による外貨収入低調 ⇒ 外貨大幅減 ●急激に変化する外的要因(世界的なエネルギー不足、食料不足など)で輸入による外貨出費の増大 ⇒ 外貨大幅減 このような経済危機は、30年程続いた内戦の間でも無く、内戦下でも貧しいながらも比較的経済は安定していたところから、内戦後の経済政策に起因するところが大きいと考えられます。 内戦を終了(2009年)させたマヒンダ・ラジャパクサ元大統領(現首相)は、2000年代後半、過激な内戦政策で西側諸国と対立し、手を差し伸べて来た中国と接近、中国も将来の一帯一路政策で、スリランカを地政学的に有用な地と考えていたのでしょう・・中国の後ろ盾を得たラジャパクサ元政権は、豊富な資金援助を得ながら、圧倒的な戦力で内戦を終了させ、並行して自身の地元にハンバントタ港・マッタラ国際空港・南部高速など巨大インフラ整備を行いました。 勢いづいた元大統領は、更にコロンボポートシティー・中北部高速・コロンボ港湾建設・諸々のリゾート建設など大型投資を、主に中国資本で促進させ、一見目覚ましい発展を遂げているように見えるスリランカには、外国諸国からの中大型投資が集まって来て、2010年代中頃は一種のバブルのような状況となりました。 *開発中のポートシティー(コロンボ)・・投資が集まらず苦戦中 しかし冷静になって見ると、内戦終了前までは、世界の最貧国に数えられ、さしたる産業も発展していないスリランカに残ったものは、首都圏からは遠く離れ、不便でほとんど使われていない港と空港、そして雪だるま式に膨れ上がった巨大な借金でした・・2015年頃から巨大な借金の償還が目立つようになり、借金の返済に借金を重ねるという、いわゆる自転車操業に陥ります・・その頃ラジャパクサ政権は倒れ連立政権に移動、しかし連立政権だけに政権の政策決定が迅速に定まらず経済は停滞、次から次へと償還期の迫る巨大な借金に耐えられなくなったスリランカ政府は、遂にハンバントタ港・ポートシティーなどを99年租借で中国に差し出します・・どちらも地政学的に重要な地域で、俗に言う「債務の罠」にはまったわけです。 *ラジャパクサ兄弟・・一族で政府の中枢を固めている 更にそれに輪をかけるように、2018年10月の政変問題、2019年4月の同時爆破テロ事件が起き、経済は大きく後退、連立政権の無政策ぶりに不満をいだく国民は、再び元大統領の弟ゴタバヤ・ラジャパクサ現大統領に政権を委ねましたが、2020年3月には世界的なパンデミックが起き、幾多のロックダウンでスリランカ経済は疲弊・・打ち出す経済刺激策は、次々と悪手で更に経済は悪化・・巨大な借金の償還に追われる現状は、まさに自力復活の万策尽きたといったところでしょうか。 また並行して、国民の期待をよそに現大統領のゴタバヤ氏は、兄のマヒンダ氏を首相、弟のバシル氏を経済相、他身内を大臣の要職等々、自身の身内で政府の中枢を固め、政策への反対意見を述べる大臣、官僚は即首にする強権政治を布き独裁色を強めているのも大問題・・2021年4月の有機農業政策は農作物の不作が続き頓挫し「食糧危機誘発」、また2021年10月に経済相と中央銀行総裁が行った金融政策は、急激なインフレと物不足を伴いながら「独立以来の最悪の経済危機」「国家経済破綻危機」を引き起こしています。 一年以上前から、野党をはじめ、有識者は、この経済危機を乗り越えるためには「IMF再生プランを導入するしかこの国の経済再生は無い」と警告しているのですが、いっこうにゴタバヤ政権は聞く耳を持ちません。最近は反対意見や政権非難を行った大臣や与党議員も即クビになる状況となっており、前向きな話し合いで、正しい政策決定が出来る状態ではないようです。 ここ一か月程一日数時間の停電が続いています。ガス・ガソリン・ディーゼルなどの燃料不足が顕著になっており、スタンドには燃料を求めた車や人々が長い列を作っています。物価は燃料を含めここ半年ほどで2倍近くに跳ね上がり、さして収入の上がらない一般市民は途方に暮れ疲れ切っています・・この市民の困窮した状況が大統領には見えないのでしょうか!?・・この状況は既に恐慌の入り口といって良いでしょう・・既にIMF再生プランを導入しても経済再生は無理かもしれません。 これは一個人の見解ですが、この国は一度破産し債務整理を行い、IMFの協力を得ながら新たな国家として出直したほうがよいのかもしれません・・人もそうですが、身の丈に合った「分相応」というのは大切なものです。 金満なスポンサーに出会い、豊を享受できた所までは良かったのですが、そのスポンサーは「ならず者」であった!よくある話ですね・・私の個人的見解が外れる事を願うのみです。 【現在の危機的経済状況】 ●一月末外貨準備高23億6000万米ドルまで減少、一方スリランカの対外債務は総額510億ドル(国債残高は125億5000万米ドル)で、うち10億米ドルは7月に国債の満期を迎える。また、今年に関しては利払いを含め69億米ドルの対外債務を負っている。 ●先週末変動為替制度に変更し、急激にルピー安が進行中、現在USD1.0=LKR260前後を推移、実勢からするとUSD1.0=LKR300付近まで下落の可能性有。 ●ここ2カ月で3回目の燃料値上げ、更に変動為替制へ移行後の急激なルピー安を受け燃料価格高騰、ガソリン、ディーゼル共に先週末約45%価格上昇(ガソリンLKR177⇒LKR254/リッター、ディーゼルLKR121⇒LKR176/リッター) ●1月のインフレ率は16.8%、食料品価格は25%上昇、スーパーマーケットでは、米、砂糖、粉ミルクなどの主食の販売制限 ●政府の外貨流出規制による輸入制限で起きる深刻な物不足、すでに数週間にわたる物資不足に悩まされており、公共交通機関は麻痺し、ガソリン・ディーゼルなどの燃料や食料、医薬品を求める長い行列が発生 ●発電所燃料不足による計画停電(1日数時間、7時間以上の時も有)が既に数週間続いている。 このままでは、次は治安が悪くなるのは時間の問題だと思います。 ●新着ニュース・アーカイブ ●Srieko ビジネスサポート ●Srieko Holidays🌺春のプロモーションツアー

3月13日 激しい通貨安、独立以来最悪の経済危機!?
外貨準備高が急速に減少していおり、1948年の独立以来最悪の経済危機を迎えているスリランカでは、連日の長時間停電、ガス、ガソリン、ディーゼル等の燃料をはじめ、輸入品の不足が顕著化・・先週末の為替政策変更による急激なルピー安を受け、燃料価格が即反応、約1.5倍へ急上昇・・・

3月6日 カード停止・・侵略戦争の代償と影響
例の侵略戦争が始まってもロシア人はスリランカに訪問又は滞在しており、現在のロシア人滞在者は1万2千人弱・・一方国際便が停止に追い込まれ祖国に帰れなくなっているウクライナ人滞在者も4千人弱となっており、スリランカ政府は3月頭に両国の滞在者について、2か月間の滞在ビザ無料延長を決定した矢先・・

2月28日 72時間前PCR検査陰性証明、3月1日より不要
2022年3月1日0時より、ワクチン接種完了者に対し、スリランカ入国72時間前PCR検査陰性証明が不要となります。
ワクチン接種完了者に対しては、到着時のPCR検査も行っていないため、武漢ウイルスに対しての入国制限はほぼ無くなり・・・

2月22日 今度は車のサイドミラーが不足だって・・🐶
ガス、ガソリンをはじめ、色んな物が不足して値上がりしているスリランカだけど、最近「スズキ車のサイドミラーが不足している」という記事をロイターが配信していて、「ある!ある!」といやに納得しちゃったワン🐶・・
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2月17日 停電か・ガソリン停止か選択の時迫る
「ついに来たか」という感じ・・昨年来から続く外貨不足による物不足と急激な物価上昇は、庶民の生活を直撃していて、更にこの先、スリランカの産業全体へ大きく影響を及ぼしそうです・・直近では、「停電か、ガソリン停止か選択」という物騒な話題で持ち切り・・


2月1日 ジェフリー・バワ(Geoffrey Bawa)展示会🐶
スリランカの生んだ世界的天才建築家ジェフリー・バワ(Geoffrey Bawa 1919年~2003年)さんの展示会が、コロンボで始まりましたワン🐶
開催期間:February 1 – April 3, 2022 時間:11 a.m. – 7 p.m. daily; *鑑賞無料 英語、シンハラ語、タミル語にて展示
場所:Park Street Mews, Colombo The Stables, 48 Park Street, Colombo 00200, Sri Lanka

Vol.120 – 何でもかんでもランカTOP3・・お祭り編
「お祭り」とは「公的でめでたい祝いの宗教的儀式、つまり祝祭を意味する」とあります。 こちらスリランカでは、毎月何らかの宗教に関わる祝日が少なくとも一回はあるという、なんとも有難い国ですが、それに関わるお祭りが大変多く、スリランカ人のお祭り好きが伺われます。 というのも、国民の70%以上が仏教徒のスリランカでは、祝祭が満月の日(ポヤデー)前後に毎月行われ、それに加えイスラム教、キリスト教、ヒンズー教の祝祭が、それぞれ年二回ほどあるわけですから、なるほど納得というもの..特に4月から8月終わりまでの5か月間は、お祭りのオンパレード..スリランカ正月に始まり、イースター蔡、メーデー、ヴェサック祭、ラマダン明け祭、ポソン祭、カタラガマ大祭、キャンディ・ペラヘラ祭と、次から次へと有名なお祭りが目白押しとなる季節..一年で一番暑い季節とも重なるため、国民はこの時期になると思考と行動が鈍くなり、怒りっぽくなると言われていて、お仕事も程々にお祭りの血が騒ぐというものです。😊 スリランカ人はお祭り好き!とはいえ、「お祭り」は、もともと宗教に根差したものなので、お祭り好きのスリランカ人は、すなわち宗教に熱心な国民ともいえるでしょう。 今回はそのお祭りの中でも特に有名なお祭りを三つ、「スリランカ三大祭り」と称してご紹介します。 ●5月 ヴェサック祭り(仏教 満月の日 @全国) お釈迦様の、誕生(お釈迦様が生まれた日)、成道(お釈迦様が悟りを開いた日)、涅槃(お釈迦様が入滅された日)を記念し、5月のポヤデー(満月の日)前後に、スリランカ全土で行われる盛大なお祭りです。 この数日間は、スリランカは国中がお祭りムード一色になり、各街の寺院や中心地に、パンドールと呼ばれる色とりどりの電球で飾られた大きな仏像や、仏陀を描いた大きなボードが飾られます。沿道には様々な形をした灯籠や提灯(ランタン)が飾られ、夜になるとその灯籠や提灯の明かりのもと、人々は寺院に向かい祈りをささげます。 灯籠、提灯、寺院といえば、日本のお盆を連想しますが、お祈りの対象がお釈迦様とご先祖様の違いだけで、まさにその雰囲気そのものです。 私はこのヴェサック祭りが、スリランカのお祭りの中では一番好きで、この数日間は神聖な気持ちでお香を焚きしめ、毎晩いろいろな街の飾りを見に出かけます。 全国的なお祭りなので、スリランカのどこへ行っても提灯、提灯、提灯・・改めてこの国は仏教国なんだな~と納得させられますね。ぜひ参加鑑賞してみてください。😊 ●7月:カタラガマ・ペラヘラ祭り(仏教&ヒンズー教 満月の日 @カタラガマ) 7月のポヤデー(満月の日)前二週間程、南部最大のカタラガマ寺院を中心に行われるペラヘラ祭りです。この寺院は仏教徒とヒンズー教徒が信仰するユニークな寺院で、このお祭りに合わせ、遠くは北端の街ジャフナからの巡礼者も訪れ盛り上がります。 お祭りのメインは、毎晩行われるペラヘラ祭り(装飾されたゾウさん達が寺院周辺を練り歩く)、中日に行われる火渡りの儀式とお祭りの終わりを知らせる水切りの儀式などがあり、キャンディ・ペラヘラ祭りに並ぶほど盛大で、多くの観光客が訪れるパワースポットです。 ヤーラ国立公園に近い事から、昼はサファリ、夜はカタラガマ・ペラヘラ祭りといった楽しみ方も可能ですね。機会があったら、ぜひ参加鑑賞してみてください。😊 ●8月:エサラ・ペラヘラ祭り(仏教 満月の日 @キャンディ) 数あるお祭りの中でも、世界的に知れ渡っているスリランカのお祭りがこれ・・エサラ月の新月からその次の満月までの約2週間に渡って行われるペラヘラ祭りです。元々このお祭りは英国統治当初に中止されていましたが、旱魃に苦しむ市民が、雨乞いのために盛大に復活させたのが、今日のペラヘラ祭り原型といわれています。 仏歯をゾウさんの背中に乗せ、太鼓隊、曲芸隊、各種ダンス隊などを従えてキャンディの街中を練り歩くペラヘラは、お祭りのハイライト・・日が暮れてから始まり、3時間~4時間、次から次へと着飾った部隊の凛とした行進が続きます。 ゾウさんの参加する盛大なお祭りですので、世界各国の人々にも大人気・・お祭り期間に一目見ようと、多くの人がキャンディに集まってきます。 キャンディは交通の要所だけあり、世界遺産シギリヤロックまで2時間半、紅茶の里ヌワラエリヤまで3時間と比較的便利なため、ここを拠点に周辺を散策される旅行者の方もいらっしゃいます。昼間周辺散策、夜ペラヘラ祭といった楽しみ方が一般的です。 ただし、このお祭りは大変有名で多くの人が集まるため、お祭りの期間中、周辺ホテルはほぼ満室・・街は大変混み合っていますので当日のホテルは早めのチェックインをお勧めします。また16時以降はキャンディ市内の交通規制があるのでご注意! 2022年2月1日 山倉義典 ●弊社Srieko Holidaysでは、安心して快適にご旅行できます様、厳選したホテル、車、アクティビティーの手配を行っています。 安全に旅してこそ楽しいご旅行 by Srieko Holidays

1月29日 スリランカ・新型コロナ情報更新(1月’22年)
1月27日、スリランカ保健省は、現在の新型コロナウイルス感染症のスリランカ及び世界的な状況を踏まえ、新たなスリランカ入国後の隔離措置を発表。これにより、昨年10月25日、11月1日及び12月10日に発表された措置は無効。 本措置は、1月28日午前0時以降に到着する渡航者及び既に到着した渡航者に適用。
主な変更点は次の通り・・・

2022年 1月 5日間 ヤーラ国立公園&ホエール観察
2名様 (中東在住)
今回は直前のお願いだったにも関わらず、素敵なアレンジを頂きありがとうございました。
ヒョウには会えませんでしたが、いろいろな動物に会えて大満足でした。最終日のシーフードもとても美味しかったです!・・・

1月28日 ひたひたと迫る財政危機と生活難!
三日に一度は、燃料不足による停電騒ぎ・・明日の事は中央銀行やエネルギー相に聞いてくれ!とばかり電気の供給が不安定で、責任のなすりつけ合いが起こっています。先日はセイロン電力庁総裁の突然の辞任劇・・いったい何が起きてるんでしょう・・
