Vol.127 – も?ドック活動 野良犬「大五郎」救出編?

私達Srieko Holidaysのスタッフは皆犬君が大好きです。
特に代表の山倉理恵子は、中毒症状といっても良いほど犬族と呼ばれるものを愛しているようです。?
もちろん本業の旅行業に集中し、お客様により良いサービスを提供できますよう日夜努力しておりますが、たまには時間を見つけ出来る範囲でスリランカの野良犬の栄養補給「も?ドック活動」も行っています。
スリランカはご存知のように仏教国で「生きとし生けるものは幸せであれ」という考えが国民に浸透しているせいか、日本を含む先進諸国のように野良犬を保健所送りにするような事はありません。?
また、それぞれの家やレストランなどには、野良犬のために水入れとご飯の容器を玄関先に置いておくところも多く、時間になると残飯やお水を与えています。
このような光景を目にする毎に、スリランカの人達はなんと慈愛の心に満ち溢れた国民であろうと思うのですが、野良犬は野良犬なりに、その家やレストランの用心棒的役割を担ったりしていますので、持ちつ持たれつといったところでしょうか!
ただし、野良犬も時には怪我をしたり、病気になったり、年老いたりして、自身の思うように体が動かず衰弱している野良犬も多々見かけます。
弊社代表の山倉理恵子と私達は、栄養価の高いドックフードや消化に良いビスケット、綺麗なミネラルウオーターを常時車に積み込んでいて、時間を見つけて西へ東へと街中を巡回し、元気のない野良犬を見つけては、「も?ドック活動」として栄養補給をしています。
●野良犬「大五郎」
活動を始めてから数年が経ち、周る地域の野良犬達とは顔なじみになり、犬課長とも仲良くなりました・・お散歩にお供する野良犬も出てきたりして犬課長の周りは賑やかになっています。
それぞれの野良犬には代表の山倉理恵子が犬の外見や性格にちなんだ名前を付け、野良犬達もその名が気に入っているらしく、名を呼ばれると可愛い仕草で甘えてきます・・ほとんどの野良犬は2匹なり3匹なりのグループを作り、ほぼ同じエリアで生活しているのですが、中にはグループを作らず、アウトローとも申しましょうか単独で行動する変わり者もいたりして、「人間社会とそっくりだな」と微笑ましく思える事も・・
その単独で行動する野良犬の中でも特に行動範囲が広いのが「大五郎」メスの白い雑種・・この子は本来グリム童話に出てくるシンデレラ系のお嬢さん犬かも!?と思わせるようなトッポジージョ系のかわいい女の子、でもこの浮世ではシンデレラだけに薄汚れたボロ雑巾のような仮の姿をしているようです?・・犬課長の散歩途中に何時も出てくる連中とは違い、時々しか出てこないので優先的にドックフード等の栄養補給をしているのですが、なんせ行動範囲が広く二年程の付き合いにもかかわらず住処も素性も特定できない、まるでサファリで目的のレアな野生動物がなかなか現れてくれないがごとく、見つけるのに手のかかるお茶目な女の子というところでしょうか?
●野良犬「大五郎」救出
犬課長の散歩でビーチに向かう途中の道脇で寝ている「大五郎」を見つけたのが8月上旬のある日、車を道脇に停め「大五郎!」と”も?ドック”代表の山倉理恵子が呼びかけても反応なし・・いつもなら嬉しそうに寄ってきて甘えてくるのに何かおかしい・・直ぐに私もエンジンを止め「大五郎」に近寄って呼びかけても、顔を上げうつろな瞳で私達を見つめるのみで、大好物のドックフードを与えても食べる元気なし・・これはおかしいと感じ、触診をしてみるとかなりの高熱でお腹が張っている感じ・・
これは大変だと、好意にしている地元の野良犬保護団体(NGO Dog Star)に電話するも夕方なのか誰も出ず、はてどうしたものか?・・先ずは私達で救出するしかないという事になり、犬課長に事情を聞かせ家に戻り課長は家で留守番、私達は近くの開いている動物病院から、救助マットなど救助器具類を借り助言を得て「大五郎」のもとへ急行、幸い「大五郎」はかなり弱っているものの救助マットを使い近くの病院に連れて行くことが出来ました。
その優しい獣医さんの見立てでは、身体がかなり衰弱しており高熱が有るものの狂犬病ではないとの事、ひとまず栄養剤と解熱剤を体の数か所に注射し、一晩様子を見ようという事になり家に連れて帰りましたが、明日をも知れぬ「大五郎」の様子を見ると夜も眠れません・・急遽駐車場に「大五郎」用に作った部屋を一時間おきに見に行き、息があることを確認しては安堵するの繰り返し、私達は空が白み始めてやっと仮眠をとる事が出来ました。
●野良犬「大五郎」病院へ、連日通院
朝になっても、ちっとも状況の良くならない「大五郎」、”も?ドック”代表の山倉理恵子と相談し、虹の橋を渡る前に設備も整っている犬課長の主治医に一度見せようという事になり、瀕死の「大五郎」を救助マットに乗せ主治医のいる病院へ・・この病院はスリランカ空軍の名物獣医さんが開業していて、チビの頃からお転婆で怪我や病気の多かった犬課長が長年お世話になっており、病院で働く獣医さん達の腕は折り紙付きで名医ぞろい、最近は噂が噂を呼び、地元の人ならず遠い内地から愛犬を連れてくる飼い主で大混雑の超有名動物病院・・
なんとか助けてあげたい一心で早速診てもらうと、内臓がかなり弱っているらしく極度の貧血、高熱が続いているので、解熱の注射と栄養剤・その他の投薬のため2時間程の点滴という事に・・点滴の最中「大五郎・大五郎」と呼び続ける”も?ドック”代表の山倉理恵子の気持ちは如何ばかりかと・・併せて血液検査のため採血し翌日に結果が出るとの事・・主治医に大丈夫かどうかと聞いても「血液検査の結果次第」だと・・翌朝の注射キット、栄養剤、貧血剤、などを受け取りながら重い気持ちのまま重体の「大五郎」を連れて帰宅。
「大五郎」はいつ虹の橋を渡ってもおかしくない、ぐったりした状態・・翌日の検査結果は予想通りの重体を示す数値で、極度の貧血、極度の腎機能・肝機能の低下となっておりかなり危険な状態との事・・その日から主治医の指示に従い一週間の集中治療が始まりました。
集中治療と言ってもスリランカでは、ICUなど入院はさせてもらえないので連日通院です・・朝に病院に連れて行き注射・点滴治療をし、家では朝昼晩と貧血・肝臓・利尿剤・抗生物質の飲み薬と言った具合・・通院を始めて二日目には治療の効果が出ているのかモゾモゾし始め、三日目くらいからは、ミルクやヨーグルト・ドックフードなど少し食べるようになり集中治療の効果が出ているよう。一週間目の再検査では、貧血は改善し、肝機能・腎機能もまだ理想値には程遠いもののかなり回復してきました・・主治医からは、「かなり回復してきたので大丈夫だと思う」と嬉しい診断をもらい、晴れて集中治療から解放、一命をとりとめた「大五郎」を見ながら、私達もひとまずホッとした次第です。
●「大五郎」回復、故郷に戻る
いや~野良犬の回復力は相当なもの・・集中治療から解放されたとはいえ、まだ貧血・肝臓・腎臓と連日投薬中の身なのに、二週目からはドックフード・鶏肉・パン・チーズ・ミルク・ヨーグルトとガツガツ食べ始めます・・その量も3倍ほど大きい犬課長と同じかそれ以上・・食欲は犬の健康を見るバロメーターと良く言われますが、「大五郎」は集中治療が終わり急に回復した感じで、その食べっぷりに”も?ドック”代表の山倉理恵子もビックリと同時に微笑ましく見守ります・・
三週間目には駐車場に作った「大五郎」の専用部屋から抜け出し庭を徘徊し始めます・・また、風通しの良い軒下にある籐の椅子が気に入ったようで、気持ちが良いのでしょう、その上で日がな過ごすようになり食事は駐車場と、ジリジリ犬課長のテリトリーに入ってきます(笑)・・犬課長はもともと室内犬ですので、庭は日向ぼっこや見回りをする程度の場所なのか、自分のテリトリーに入って来る「大五郎」を威嚇することなく見て見ぬふり・・本当はよそ者の”お嬢さん”が気になるのでしょうが、事情が分かっているのか、興味が無いのか老犬でボケているのか、ののしり合いや犬喧嘩も無く二匹の生活は何事も無く両立してしまった事にまたビックリ・・”も?ドック”代表の山倉理恵子と話し、犬課長も分かっている様なので、「大五郎」がもう少し太り、毛並みが良くなってから故郷に返そうという事に・・
しかし「大五郎」は野良犬出身、元気になるにつれ庭にも飽きて来たのか一日一回は、門の隙間から抜け出し私道に出ていく始末(我が家の門の外には私道30m程が有り、私道と公道との境は外門で閉ざされている)・・さすがに見知らぬ土地で、他の野良犬が多い公道には出て行かないようですが、私道をフラフラして家の庭に入ったり出て行ったりしているのを隣人が発見したようで「白い野良犬が庭に入ったり出たりしているけど大丈夫か」と確認が入る始末・・
やはり野良犬は、雨風にさらされても、食べ物が見つからずひもじい時が有っても、なんたって自由に行動できる事が一番なんですかね・・我が家に来てから丸三週間が経ち体力は回復、もう少し見栄えの良い犬になって人から食べ物をもらえるようにと、もう一週間程面倒見ようと思っていましたが、野良犬「大五郎」は自分の故郷に帰りたいようです・・
「体力は十分戻ったか?」「本当にこの子は、野良犬としてこれから生きて行けるのか?」「また変なもの食べて動けなくならないか?」と自問自答し”も?ドック”代表の山倉理恵子とも話した結果、「元気になったのだから、故郷に帰すのが一番」「また何処かでうずくまっていたら救助すればいいね」という事になり、当日故郷のニゴンボビーチに帰しに行きました・・なんだか寂しい感じもしましたが、三週間前の「大五郎」を思うと回復してくれた嬉しさのほうが大きくて・・リリースすると気にしながらもトボトボ離れていき、知り合いの野良犬達に「あたし三週間いなかったけど、お姉さんとお兄さんの家で治療してもらって元気になって帰って来たよ?」と挨拶している姿を見るにつけ、よくぞここまで頑張って回復したという誇らしく又晴々しく思ったものです。
●野良犬「大五郎」その後
「大五郎」がいなくなって早二週間ほど、マイペースの犬課長はほぼ毎日元気にビーチへ出かけています。その間なかなか出てこない「大五郎」に会ったのは2~3回、ある時はビーチに行く途中で現れたり、ある時はビーチのボートの陰から現れたりと、相変わらず行動範囲が広く野良犬生活を満喫しているようです?
先日は夜のビーチをお散歩して「大五郎最近出てこないね~」「太郎(犬課長)、大五郎呼んでよ~」と、”も?ドック”代表の山倉理恵子と「♬大五郎~」と探していると、お散歩の終わりの頃ひょっこり出てきたりするのです・・数日ぶりに遭った「大五郎」は相変らず煤けているものの足取りは快調、元気に野良犬ビーチライフを楽しんでいるようです・・「大五郎」も他の野良犬達と合流して楽しそうに犬課長とお散歩をしてますが、その日は私達の前に来ては立ち止まり私達を見つめ「あたしこれだけ元気になったよ~ルンルン♫」と感謝しているよう、「よしよし良くなって良かったね」と頭を撫でてあげると、また先に行って立ち止まり私達を見つめるの繰り返し?、7度程繰り返したでしょうか・・私達は「野良犬であっても感謝するんだね~」と微笑むのでした。
お散歩の最後は栄養補給です!その日も”も?ドック”代表の山倉理恵子特製の栄養食が、一緒にお散歩した野良犬達に振舞われます・・チキン煮つけ・チーズブレッド等の他にドックフード等も・・どの野良犬も栄養食を取り大満足!改めて仏陀の言葉「生きとし生けるものは皆幸せであれ」と思う次第です。
野良犬「大五郎」には、いつシンデレラの様に王子様が迎えに来るか分かりませんが、他の野良犬達同様にいつまでも幸せであることを願てやみません。??
安全に旅してこそ楽しいご旅行 by Srieko Holidays
2022年9月10日 山倉義典
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