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スリーエコ・ニュース (Srieko News)

Vol.54 – 希少動物が危機に直面!!大自然と人間の関わり方について。

September 28, 2015 at 12:12 pm

 

皆様

 

9月もあっという間に過ぎ、日本は秋を色濃く感じる季節になってきたことと思います。昨日は中秋の名月!日本では「お月見」という素晴らしい文化があり、皆さまはそれぞれ自分に合ったスタイルで「お月見を」楽しまれたのではないでしょうか。

こちらスリランカは、毎月満月の日は「ポヤデー」といってお休み!毎月お休みなんて良いな~~と思う人もいるとはお思いますが、仏教行事のためこの日は、酒屋をはじめホテル、レストランでの酒類の販売禁止となり、国全体で禁酒の一日となるのです....なんとも旅行者にとっては厄介な話ですが「郷に入れば郷に従え」これも仏教国として宗教が根付くスリランカならではの習慣と言えるのではないでしょうか。

旅行者と言えば、最近のスリランカへの国別訪問者は大きく様変わりしています。以前は欧米中心で、私たちが初めてスリランカを訪問した20年ほど前は、アジア人は皆無でしたが、内戦終了後は中国の投資が増大、それに呼応する形で中国人訪問客が爆発的に増えてきています。内戦も終わり治安が良くなったことで、TVをはじめとするメディアがスリランカを取り上げっているのも要因ですが、何といっても観光局の国を挙げての中国への宣伝活動も大きな効果を上げているようです。

空港周辺のリゾート地ニゴンボビーチロードは国慶節ということもあり、「ここはチャイナタウンか」と思えるくらい中国人観光客でにぎわっている状態!更に大手ホテルチェーンは中国語対応スタッフの強化に取り組んでいるようです。

数は力ともいいますが、昨今陰りの見え始めてきた中国経済、このまま中国人観光客の増加は続くのか!?気が付いた時には、観光地は中国人向けの対応がスタンダードになり、欧米諸国はもとより中国以外のアジアの国からはそっぽを向かれ、中国人がいなくなったら誰もいなくなった!!….といった様な事が起きないよう、スリランカは、長年培ってきた良き伝統や誇りを守り続けてもらいたいと願う次第です。

 

さて今回も、いろいろと伝えたいことがあるのですが、スリランカの希少動物が危機に面しているパート2「大自然と人の関わりについて」考えてみたいと思います。

 

前回のSrieko Newsで「8月29日にヤーラ国立公園内の道で成獣のメスのヒョウが園内のジープに跳ねられ犠牲になった」ことはお伝えしましたが、一か月もたたない9月21日今度はヌワラエリヤ近郊の森林帯で体長2m強のオスのヒョウがワイヤーで作られた罠にかかり犠牲になりました。Leopard Nuwara Eliya-1-1-210

絶滅の危機にあるヒョウが、短い間にまた犠牲になったことには大きなショックでしたが、国立公園や動物保護区以外で猛獣が徘徊しているのも大きな驚きです。

今回は密猟とかではなく、夜な夜な畑を荒らしにくるイノシシ対策の罠にかかり、運悪く首にワイヤーがからみ犠牲になったもの、ヒョウを狙った罠ではなく住民の不可抗力といえます。

 

スリランカは「野生動物と人々が本当に密接に関わりながら生活する奇跡の楽園」として世界的に有名で、知る人ぞ知る希少動物の王国です。

現に田舎の村々周辺には、いろいろな野生動物が身近に生息し当たり前のように民家の近くで普通に生活をしています。ゾウさんなどが家を襲い、食料を奪っていく事も度々です。

しかしこの国の人々は、家を壊されようが、畑を荒らされようが、ゾウさんを追い払う事はしますが、決して殺そうとはしません。

私は、夜ゾウさんの襲撃を受けたばかりの民家を訪問したことがありますが、その時の民家のご主人の言葉が深く心に残っています。「ゾウは悪くない、昔からこの地に住んでいる動物達は友達なんだ!むしろ人間達がなんとかしなければ....私はこれからもこの地で動物達と生活して行くよ」と、初めてこの言葉を聞いた時は信じられない思いでしたが、他の同じような被害に遭った民家でも同じような受け答えでした。その後数週間は、何か消化しきれないような思いでいましたが、ハッと気付いたのは、日本の敗戦後サンフランシスコ講和条約で、当時のスリランカ大統領ジャヤワルダナ氏の「憎悪は憎悪によっては消え去るものではなく、ただ慈愛によってのみ消え去るものである」という演説を思い出した時でした。そうだ、このスリランカは仏教の教え「慈愛」に満ちた国なのだと!スリランカの人々にはこれからも宗教に根ざした「慈愛」の心、バトンが次から次へと受け継がれているのでしょう。

 

田舎でのちょっとした移動でも野生のゾウさん、シーベット、ワニが出没したりするスリランカ、一方経済の発展で生活も裕福になってきたスリランカ、人口増加、地方の開発でただですら国土の小さいこの国では、野生動物達の住処がどんどん失われています。

 

≪下の図は野生のヒョウの生息地と国立公園の分布です。≫

 

Leopard Nuwara Eliya-2-400は野生のヒョウの生息域

はスリランカの国立公園

 

この図から国立公園の外にも、いかに多くのヒョウが生息しているか、分かると思います。

 

内戦の激しかった北部、世界遺産遺跡群のあるシギリヤ周辺、地図中「橙色」の中央高地にヒョウの生息地 が集中しています。

特にシギリヤ周辺、セイロン茶の里中央高地ヌワラエリヤは、スリランカを訪問する旅行者がほぼ訪れる人気スポットですので が多いのはかなり気になるところです。(笑)

 

* 街中では会うことはないと思いますが、人里離れた夜道を歩いていたらバッタリ!なんてことが起こらないとも限りません..ヒョウは猛獣です!この地域での人里離れた夜道での一人歩きや、安易に森林地帯でキャンプ等は避けた方が良いと思います。

 

 

 

 

 

住処を失った野生動物達は人里に現れ、今後、今回のヒョウのような事故が多くなるのでは...大自然の中、野生動物と慈愛の心を持ちながら共に生活するスリランカの人々にとっては、それでも「今のまま何も変えることはない」という人も多くいると思いますが、そろそろ政府一丸となって、計画的に人々の生活区域と国立公園、自然保護区の整備、猛獣等の動物達の捕獲移動を含めた環境整備を行う時期なのではないかと思います。

 

スリランカ首相のラニル氏も国立公園、自然保護区の環境整備を進める方針ですが、それ以外の地域に生息する野生動物達には今までとは少し違った角度での保護活動が必要なようです。

 

「野生動物と人々が本当に密接に関わりながら生活する奇跡の楽園」を次世代の子供たちに残すために..

 

2015年9月28日

山倉 義典

 

www.sriekov2.loc も宜しくお願いします。

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