Vol.56 – スリランカ再発見!Part-2 芳醇な香りと奥深さ!セイロンティー
セイロンティーの最高峰、ゴールドティップ&シルバーティップ
何かと忙しい師走ですが、いかがお過ごしでしょうか?
今年の冬は暖冬とのこと、雪景色のホワイト・クリスマスとはいかなくても、きれいなイルミネーションが街を飾っている時期ですね。
こちらスリランカは仏教国ですが、都会のコロンボを中心に数年前からクリスマスの飾りつけもそれなりに?!楽しめるようになりました。
しかし今年はクリスマス・イブの24日が仏教のお休みと重なることもあって、昨年までと違って、ホテルやレストランでのクリスマス&クリスマス・イブのパーティーの宣伝はほとんどなく、いたって静かなパーティー・シーズンといえます。そうそう、24日は公共の場では一般にお酒が飲めませんから、この時期にスリランカをご旅行される方は(宿泊するホテルはどうなのか)事前のチェックをお忘れなく!
前回のニュースでも書いた通り、最近までスリランカのお茶がどんなにおいしいものであるか、さほど意識したことはありませんでした。紅茶も飲むけれど、メインはコーヒーと、この国では高いフィルター・コーヒー用の豆をせっせと買ってきていたものでした。
転機となったのは、お客様に頼まれて紅茶専門店を何店舗か訪れたこと。
「せっかくだから、ふだんはスーパーで買っているけれど、私のためにも買って帰りましょう・・」と、高いものから、比較的にリーズナブルなものまで買いだめし、飲み比べてみたことでした。
高いものは、ゴールドティップ、シルバーティップ(ホワイト・ティーと言われることもある)と言われるもので、どこでも買えるというものではありません。
作家の故・開高健氏が中東のお金持ちにセイロンティーを振る舞われたときのことを書いていらして「水のようだ・・」と表現されているのを、かつて読んだことがあり「せっかくスリランカにいるのだから、こうした最高級茶も口にしてみたいものだなあ・・」と、思っていたものです。
ゴールドもシルバーも、「ミルクもお砂糖も入れずに召し上がることをお勧めします・・」と、容器に書いてあります。茶葉は木々の小さな芽を集めたようなもの、もしくは小枝を小さくカットしたようなもので、一般的な紅茶の茶葉のイメージとは少し違います。
「さて、どんなお茶が楽しめるのだろう?」
ちょっぴりワクワクしながらゴールドティップにお湯を注いで出したものは、確かに“水”と表現したくなるような〝淡い飲み物“で、色はほんのりと茶色みがかった金色、香りもほんのり、“そこはかとなく“といったものです。
一方のシルバーティップは、緑茶、日本茶というより、中国の緑茶の香りに近く、こちらも淡いという表現が良く似合う“淡い緑茶風味の飲み物”と、表現したくなります。
スリランカでは一般に、ヌワラエリヤなどの高地、海抜1300M以上で採れるハイグロウン茶(High Grown Tea)、キャンディなど海抜670~1300M地域で採れるミディアムグロウン茶(Medium Grown Tea)、海抜670M以下で採れるローグロウン茶(Low Grown Tea)と3つに分かれます。
ハイグロウン茶は、ミルクを入れないで飲むのが一般的で、ミルクが苦手な夫は、ハイグロウン茶の中でもディンブッラ茶(Dimbulla)がお気に入りで、普段はミルク紅茶を楽しむ私も、ときにはストレート、もしくはお砂糖だけ入れて、この紅茶の香りと淡い色あいを楽しみます。
ミルク紅茶にぴったりと思えるのがローグロウン茶。中でもルフナ(Rufuna)がお気に入りで、いろいろな茶葉をブレンドしている屑茶をスーパーで買い求めることしかしなかった私は、こうしてワンランク上の紅茶に出会えたことの喜び、そしてブランド別にさまざまな紅茶を楽しむ心の余裕が自分に持てるようになったことが、何だかうれしく感じてくるのです。
アジア研究者である庄野護氏の「スリランカ学の冒険」という本で、「昼下がりの紅茶学」というページに、次のような一説があります。
「“紅茶は、飲み手に努力を強いる飲み物”といわれる。香りのコーヒーは、飲み手が努力しなくても向こうから近づいて来る飲み物。紅茶は、飲み手が主体的に近づいていかなければ得られない飲み物。受け身の生き方をしているひとは紅茶と出会えない。・・・・・・茶の葉が開く時間を待てる人は、時間の大切さをわかっている。」
私が紅茶のすばらしさに目覚める以前、紅茶の中に哲学的意義すら感じるようになる以前に、庄野氏のこの一節に出会っていたら、気にも留めないか、反論の言葉が浮かんだことでしょうが、紅茶なくして1日が始まらない今となっては、「うまい表現だなあ・・」と、感服してしまいます。
ところで皆さんは紅茶の効能をご存知ですか?個人差もあるでしょうが、一般に下記の効能があるとされています。
*酸化防止効果 (主に紅茶に含まれるフラボノイド、テアフラビン、緑茶に多く含まれるカテキンによる)
*がん予防効果(主に紅茶に含まれるポリフェノールによる)
*抗菌作用(主に紅茶に含まれるテアフラビン、ポリフェノール、緑茶に多く含まれるカテキンによる)
*ダイエット効果(主に紅茶に含まれるポリフェノール、緑茶に多く含まれるカテキンによる)
*有害成分排出(主に紅茶に含まれるポリフェノール、カフェインによる)
*ビタミン補給(特にビタミンB1,B2,ナイアシンが多いとされる)
*ミネラル補給(特にカリウムが多いとされる)
などなど。
ミネラルといえば、紅茶にはフッ素も入っていること、ご存知でしたか?
知り合いの歯科医は、以前私がシンガポールに住んでいたと聞いて「シンガポール人は虫歯がないでしょ?水道水にフッ素がはいっているせいだよ・・」と、話していたことがあります。
歯に良いからと、砂糖たっぷりの紅茶をいっぱい飲んでいでは逆効果でしょうが、時には香りと色を楽しむために、
そしてひとときの心の余裕を持つためにも、砂糖もミルクも入れないブラックティー(プレインティー)を楽しむこともお勧めです。
そうそう、もう一つ、紅茶の美味しさをわかっていただくために、是非ともお勧めしたいことがあります。
便利さからどうしてもティーバッグを利用される方が多いと思いますが、茶葉でいただく紅茶とティーバッグでは、似て非なるものと思えるほど、味も香りも異なります。
かく言う私も、時間のない時はティーバッグを利用しますし、ティーポットを使うにしても、スリランカの人達が抽出するような“プロの紅茶”はいまだに淹れることはできません。
ただ、茶こし機能のついたポットを使うだけで、茶葉がティーカップに漏れ出す面倒もなく、簡単に香りのある紅茶が楽しめるのです。
温かな紅茶カップ片手に、今年を振り返ってみる、もしくは来たる2016年に思いをはせるもよいかもしれませんね?
何といっても、紅茶の中には哲学があるのですから・・。
来たる2016年も、どうぞSrieko Holidaysを宜しくお願いします。
2015年12月16日
山倉 理恵子
www.sriekov2.loc も宜しくお願いします。
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