Vol.68 – 旅行業界の不祥事について思う事
皆様こんにちは。
日本は夏休み真っ最中、もうすぐお盆だという事もあり、そろそろ帰省ラッシュの時期でしょうか!?家族で田舎に帰り、小川で魚を採ったり、セミやカブトムシを採ったりとお父さんは、普段都会ではできない家族との触れ合い計画を、あれやこれやと立てている事と思います。
私達の住むスリランカは、7月から欧米のバカンスが始まる事から、7月~9月は当地を訪問するお客様が多くなります。日本人も最近は、海外駐在員を中心に、夏休みのピークを外し早い夏休みや遅い夏休み取る人が多くなっているせいか、7月の上旬から9月までは多くの人が訪れます。特にゾウさんが街を練り歩くキャンディ・ペラヘラ祭りの約10日間は、お祭りを一目見ようと世界中からの訪問客が増える時期です。私達の会社Srieko Holidaysもこの時期は、繁忙期を迎え、ホテル、お車、アクティビティ等のトレース業務に追われ、おかげさまで充実した毎日!?を過ごしています。
さて今回は、最近の旅行業界についてのお話しです。
ここ2年ほど、「安さ」を売りにしている旅行会社で、良い話を聞きません。
皆さんも覚えていると思いますが、昨年年初に起きた軽井沢のバス事故、コスト削減のため熟練度の低いドライバーを使い、夜の長距離運転の疲れと操作ミスが重なり多くの犠牲者を出した大事故でした。旅行代金も「格安」だったと思います。
今年の3月には、決算期を控え倒産した「格安」を売りにした中堅旅行会社、旅行の申し込みをしていた人々は、支払ったお金が返金されない事もさることながら、せっかくの休み、楽しみにしていた旅行が直前にキャンセル!多くの人が路頭に迷った事は記憶に新しいと思います。
そして直近、D社社員の方の自殺でクローズアップされている厚生省の「ブッラク企業リスト」にも、「格安」で成長してきた大手旅行会社が加えられたとの事。この会社は、以前から社員の知識レベルが低く、旅行客に的確なアドバイスができない事で有名でした。
これだけ不祥事が立て続けに続くと、旅行業に携わる私達としては、「どうした旅行業界!?」と文句も言いたくなるものです。
本来ならお客様の夢と希望を、旅行という形で実現すべき業界が、残念ながらこのような不祥事の連続...楽しいはずの旅行が、お金だけではなく、命まで取られた人もいることを考えると、何とも割り切れないものを感じます。
原因の一つとして、そもそも旅行のツアー価格が安すぎる点があげられます。世界的な景気停滞と言われてから久しく経ちますが、それは先進各国でのお話、世界的に見れば、アジアを中心に経済発展が著しく、求人が増え人件費が上がり、それに伴って物価も上がっているのが実態です。
ところが、この方面のツアー価格は、良くて据え置き、年々信じられない価格の目玉商品が発売され価格崩壊が進んでいます。実際にかかる費用が上がっているのに、販売価格が下がるとは...何ともおかしな話ではないでしょうか?バンコック5日間飛行機込みで4万円以下!なんてツアーもあるくらいです。
なぜ旅行価格がこんなに安いのだろうと思われたことはありませんでしょうか?実は私もその一人(笑)…その裏には、本来一番考えなければならない、安全に快適に品質の良いサービスを提供する「顧客ありき」という基本を忘れ、薄利多売で儲けようとする「企業ありき」の傲慢さが見え隠れします。
この2年ほどで起きた事件も、裏を返せば企業(=経営者)の傲慢さから来ているものばかりではないでしょうか...過当競争によるコストダウンという名の下で行われる過剰労働=ブラック企業化、費用を無視した放漫経営=詐欺まがいの倒産、はたまた価格競争というコストカット(手抜き)=死亡事故...私達は、このままでは、旅行業の存在自体も危うくなるほどの危機感を持っています。
格安ツアーは、企業努力と言えば聞こえはいいですが、どこかで過剰なコストカットをしており、「安い」からにはそれなりの理由があるものです。そのひずみが、どこかに来る可能性があるという事です。
例えばツアー会社の担当者が現地を訪問したことが無く、現地の状況を十分把握しないで、机上でツアーを企画している場合など少なくありません...不測の事態の備え、少なくとも担当者は、自身の責任として現地がどういう状況なのか確認しておく必要があると思うのですが...。このような担当者にかぎって、下請けには現地の状況も把握せず、厳しいコストダウンを要求してくるものです。
発展途上国の多い南アジア(スリランカも含む)、東南アジア、アフリカ等では、日本のように「安い、早い、美味い」は、まず有り得ません。何事も、大河のようなゆっくりとした時間に乗っていますので、むしろ、「高い、遅い、不味い」が普通だと考えたほうが良いと思います。たまに「高い、遅い、美味い」はありますが(笑)...。安全面はもちろん、最悪は人命にかかわる事も有りますので、ツアー選びには、十分注意が必要だと思います。
まずは「日程に無理が無いか」「移動手段、宿泊に安全が確保されているかどうか」「いざとなった時に、現地での対応がしっかりされているかどうか」等々を確認されるのが良いと思います。
旅行には、大きく分けると目的別に3つの種類があると思います。
1つ目は、Srieko News Vol.61でも触れましたが、非日常を求めて海外に出る旅行です。
多分、世界中で旅行されているほとんどの方の旅行は、これに当てはまると思いますし、弊社は、ここに一番力を入れています。
問い合わせのあった段階から、お客様のご希望をもとに、一緒にプランを作成していきますので、スケジュールに無理が無く、安全に楽しく旅行が出来るとお客様に好評です。また、現地旅行会社ですので、ご旅行中に何か問題があった場合、24時間日本語で素早く対応でき、安心してご旅行できると思っています。
2つ目は、専門的な趣味や、目的を持っての旅行。
年に3~4件ですが、趣味や目的を絞ったご旅行をされている方々のお手伝いをしています。
例えは、XX研究会(例えば遺跡、紅茶や植物等々)の人々で、趣味や目的の場所を専門に見て周られる旅行ですので、会の趣旨に合った場所の選定、他に退屈しないよう会の趣旨を外さぬ程度のアクティビィティー等を考え、旅行の企画提案をするのは楽しいものです。
私も妻も、この時は研究会の一員になったつもりで、楽しみながら企画提案をし、旅行をプロデュースしていきます。
更に、TVのロケや各種取材もこのジャンルで、企画提案やコーディネートのスキルは一段高くなりますが、苦労した分、番組や記事を見た時に、「やってよかった」といった充実感があるものです。
3つ目は、私も若い頃にはまっていた、冒険、探検の部類に入る旅行。
30年以上前になりますが、長距離用の自転車に大きなバックを前後両脇に4つ付け、寝袋を積み込んで、季節の良い時に日本中を周ったものです。宿泊は勿論、宿泊する街の駅やバス停(私達はステーションホテルと呼んでいましたが...)当時の私には快適な宿泊所でした。海外に目覚めてからは、日本からの第一目的地までの往復航空券を持ち、バックパックを担ぎながら、公共交通手段を駆使しながら、秘境(キリマンジャロ登山、ビクトリアホール等々)を目指したものです。植村直己氏やヘミングウエー氏に影響され、今考えるとかなり危ない事も有りましたが、冒険家、探検家気分で、若さに任せて怖いもの無し状態で、中東、アフリカ大陸を放浪いたしました。
さすがに探検、冒険旅行は、今のところ弊社が関わることは、ほとんど有りませんが、1つ目、2つ目の旅行は、弊社がお問い合わせ段階から関わる事ですので、常に的確な情報を伝え、安全で快適なご旅行をお客様と作り上げ、更にプラス意外性を含めたサービスをしていければと思っています。
旅行業界の不祥事が続いておりますが、この事を反面教師として気を引き締め、スリランカ旅行なら、現地旅行会社Srieko Holidaysと言われるよう頑張っていきたいと思います。、今後とも皆様のお役に立てるよう、またスリランカの旅行業界発展に協力できればと思っています。
www.sriekov2.loc も宜しくお願いします。
2017年8月10日
山倉 義典
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