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スリーエコ・ニュース (Srieko News)

Vol.64 – スリランカの「安定...」について

March 7, 2017 at 10:53 am

コロンボの整備されたショッピングモール(インディペンデントスクエアー)

皆様

 

年末年始から2月のお客様対応に追われ、随分ご無沙汰してしまいました。

スリランカを訪問して頂いたお客様に深く感謝を致します。

特に今年は、ダンブッラ周辺で行っている早朝のバルーンツアーが好評でした!ご利用された方々は、早朝の澄んだ空気の中、風のゆくまま気のゆくまま、ツアーを楽しんで頂けたようです。

 

今年の年末年始(11月~2月)は、例年に比べ気候的に過ごし良く、朝晩は気温が下がりエアコンいらずの、すがすがしい日が続きました。お客様も旅行中は大変快適だったのではと思います。

ただ雨がほとんど降らなかったため、北部、南部、東部の水道設備が整備されていない地域では、生活用水をためる溜池が干上がり、地下水も枯渇して、住民に深刻な影響が出ています。

日本人にも旅行先として有名になりつつあるスリランカですが、道路、電気、水道をはじめとする基本インフラ整備は、まだまだこれからの所があり、スリランカの今後の発展には必要不可欠なものであることは、疑う余地もありません。

 

さて今回は、スリランカにおける「安定…」について考えてみました。

先進国では当たり前の整備された高速網、生活基本インフラ(電気、水道...)の供給、生活物資供給、サービスの供給....全てが安定的に国民へ供給され、国民は当たり前のように生活しています。それがままならないのが、発展途上国と言えばそれまでなのですが、スリランカ政府は、どうも基本となる国民生活を後回しにして、目先の利益となる大型投資物件(高層ビル建設、新規空港建設、新規港湾建設)ばかりに注目して投資をあおり、本来急がなければならない、基本インフラ整備を二の次に考えているきらいがあり、昨今の国民感情を察するに、政府の政策と国民の生活には大きなひずみが出ているように感じてなりません。昨今、国民の生活に大きなひずみが出ているように感じています。

内戦が2009年に終わり既に丸7年という歳月が経っているにもかかわらず、都市間経済を円滑につなぐべく高速道路は、最大都市のコロンボと第二の都市キャンディの間(120km)ですら計画はあるようですが、建設が進んでいません。また、コロンボや地方主要都市近郊では有名なホテルをはじめとする高層ビル建設ラッシュとなっておりますが、電力供給が安定せず(予告もなく停電になる)、高層ビルのエレベーターが使えないといった状況もしばしば…更に地方では、上水道の整備がほとんど行われていないため、水が不足したらどうするのか?これらの安定供給があってこその、快適なリゾート、高層ビル、高級ホテル、メガモールだと思うのですが...残念ながら今のところ、開発順序が逆転しているのがスリランカの現状です。

 

生活物資の安定供給に至っては...以前スリランカからビールが消えた話を致しましたが、これなど可愛い話(私個人的にはかなり深刻でしたが...笑)、ある日突然、生活必需品が無くなることも! スリランカに長く住む日本人の知り合いも、スーパーでコーヒーを5袋程買い溜めしている私達に「ここは、物が一度なくなるとなかなか入ってこない」といって笑っておられたのを思い出します。

 

更に、民間や政府機関のサービスに至っては...複雑怪奇!?

今年の居住VISA更新の時は、開いた口が塞がりませんでした...というのもスリランカに住んで6年、毎年のVISA更新で監督省庁BOI(弊社はBOI企業なので)よりVISA推薦状を貰い、入国管理局でVISAを取得するのですが、今年に限って監督省庁BOIより書類不備のためVISA推薦状が出せないと、VISAが切れる直前に連絡があり、上へ下への大騒ぎとなりました。今年提出書類した書類は前年同様にもかかわらずです...至急動いて事なきを得ましたが、BOI担当官に直接確認したところ、以前の担当官が見落としていた自分達の非を棚に上げ、「提出しないあなたが悪い!」と言われ、唖然としたものです。人の質に依らない提出書類のマニュアルを作れば簡単に防げる問題だと思うのですが...(笑)、一事が万事!他のローカル対象の省庁も同じような状況かと思います。

 

このように、まだまだ国民の幸せを考えた「安定...」には程遠いスリランカですが、国民は、目立った大きな反政府デモも起こさず、現状とうまく付き合う方法を考えているようです。この辺は、変化をあまり好まない、おおらかなスリランカ人らしさやではないでしょうか。

発展途上国に住んでいると、日本の「安定...」の有り難さが身に沁みます。だから効率的に仕事が進むし、進めなければならない使命感すら芽生えます。日本では予告なく停電や断水が10分でもしようものなら、大変な騒ぎになるのでは....こちらスリランカでは、(外国人以外は)誰一人として騒がず、何事もなかったように10分が過ぎる...大河のようなおおらかさがあります。

 

「改善無き所に発展なし」とよく言われますが、ひょっとしたら、この国の人達は、発展や豊かになる事を、望んでいないのかもしれません...もしくは発展や豊かになる事は望むけれど、変化や自らの改善したくないのかもしれません。はたして、先を見すえた安定が良いのか?目先にこだわる宵越しが良いのか?事あることが多いこの地において、毎回考えさせられる問題です。

ただ一つお願いしたいことは、政府は私達外国人を含め、もう少し国民の生活第一に考え、少なくとも電気、水道、高速道路の整備は急いでほしいものです。

 

2017年世界は、IS問題、ブレクジット問題、ウクライナ問題、トランプ政権誕生による諸問題、中国の影響力の増大、北朝鮮の暴走、保護貿易主義の代頭、等々...政治経済とも大きな潮目を迎えており、今後世界はどのような方向に進むのか益々混沌とした問題が山積しています。

ただですら、混沌としているスリランカ丸、持ち前のおおらかさでこの世界の荒波を乗り切れるか!?はたまた、大波に飲み込まれるのか...私達も1クルーとしてこれからも一緒に頑張っていければと思います。

 

 

www.sriekov2.loc も宜しくお願いします。

                      2017年03月07日

山倉 義典

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