Vol.125 – 世界遺産ゴール砦に見る、奇跡の五角形👦
5月18日のデフォルトから一か月半が経ち、連日の長時間停電、燃料不足からくる経済的影響は広範囲に広がっており、スリランカの市民生活に不安と絶望という暗い影を落としています。 緊急及び必需品運搬車両以外へのガソリン販売は一時中止されておりますが、依然、スタンドへはガソリンを求めて各種車両が長蛇の列(2㎞以上)をなして販売再開を何日も待っている壊滅的な状況です・・一般市民の政府への不信感と怒りは最高潮に達していて、スタンド各所では暴力的な事件も多々起きており、軍隊と警察がスタンドに常駐する非常事態となっています。 *スリランカ軍出動 先日、世界遺産ゴールにあるガソリンスタンドに、スクーターに乗った外国人旅行者が給油をしに来たところ、警察官につれない扱いを受け追い返されて、旅行者は途方に暮れておりました・・限られた時間を使いスリランカに来て、外貨を使ってくれる旅行者に対してもこのような対応を取るとは、いやはやこの国はどこに向かうつもりなのでしょうか!?・・この問題はSNSと現地テレビで拡散されていて、今後、観光産業へ期待するスリランカにとって大きな社会問題となりそうです。 さて今回は、経済の危機的状況は程々にしておいて・・ 世界遺産ゴールフォート(旧市街地の砦)に見る、奇跡の五角形と題し、日本、世界を見ながらその歴史にちょっぴり触れてみたいと思います。 ●奇跡の五角形 世界遺産ゴールフォート、他・・ *世界遺産ゴール・フォート スリランカ南部海岸は、南部高速が開通したこともあり、コロンボ国際空港周辺から2時間程でいけ、スリランカ屈指の美しい海岸が拡がる一大リゾート地・・その中心地と言っても良いのが、世界遺産ゴールフォート(旧市街地)です。 この旧市街地の歴史は古く、14世紀頃からアラブ商人達の東方貿易地として繁栄しました。その後はポルトガル-オランダ-イギリスと、その時代の覇者に支配されながら、東方貿易の重要な拠点として発展してきました。 ゴールの町は、旧市街地(フォート)と呼ばれる半島部と、その北側に開ける新市街地に分かれます。 旧市街地は1589年にポルトガル人、1640年にオランダ人によって拡張された砦に囲まれていて、イギリス植民地時代には支配の拠点として、城塞都市として現在の街並みが完成されたと言われています。 東方貿易の拠点として栄えた背景から、西洋、アラブの宗教文化の影響を強く受けており、仏教的な色彩は少なく、代わって教会やモスクが目立ちます。 植民地時代に築かれたコロニヤル風の旧市街の雰囲気は、異国情緒たっぷりで、世界中からの旅行者を魅了してきました。一度は泊まってみたいと思うような個性的なホテルが集まっているのも、この旧市街です。 とここまでが、一般的な旧市街地の説明ですが、注目してほしいのはその旧市街地=要塞都市の形・・ 航空写真をよく見ると、砦に囲まれ綺麗な「五角形」になっているのが見て取れると思います・・更にスリランカ最北部の都市ジャフナにも似た様な要塞都市(ジャフナ・フォート1625年)があり、これも綺麗な五角形・・ *ジャフナ・フォート 私の思い込みかもしれませんが島国スリランカもゴール・ハンバントタ・プッタラム・トリンコマリー・ジャフナ各都市を頂点とする五角形に見え、その頂点にある都市はどれも軍事的・商業的に超重要都市になっています・・はたしてこれは偶然なのでしょうか。 更に更に日本に目を向けると、戊辰戦争の函館の五稜郭(1869年)・ちょっと古くて大阪城(1597年)や江戸城(1606年)の天守閣を囲むお堀の陣形・さらに古くて姫路城(1580年)のお堀の陣形等々・・アメリカ国防総省ペンタゴンもこれまた五角形、ヨーロッパには「これが本当の星の数😊」と言えるほどの五角形の要塞があちらこちらに点在し・・ここまでくると五角形には何か奥深い神秘的な理由を確信します。 *函館の五稜郭 *大阪城のお堀 *USA ペンタゴン 興味があったので、「要塞・五角形」でググってみると、この五角形は「星形要塞」と呼ばれ火砲に対応するため15世紀半ば以降のイタリアで発生した建築方式との事・・その直後の大航海時代の到来でスリランカ、東アジアの日本にその建築方式が伝わって来たと想像できます。確かに各頂点に大砲を置き陣形を整えれば、死角は無くなり守り易いように見えますね・・ 南アジアのスリランカに住んでいると、大航海時代の西欧列強の影響が色濃く残っている事を感じます。また、日本と同じ食べ物(天ぷら、鰹節、カステラ等々・・)がある事にも驚かされます・・西欧列強は南アジア経由で諸々の文化を東アジアに伝え、東アジアの文化を南アジア経由で西欧に持って帰っていたんでしょう・・飛行機なんぞの便利な交通手段の無い時代に貿易風に乗ってやって来たわけです・・そこには壮大なロマンと野心が有ったのでしょう😊 自然界でみてもヒトデ・ウニ・輪切りにするとオクラ・スターフルーツ・果物の芯など・・五角形に纏わるものは多数あります。また数学的・幾何学的にも、古代ギリシャのピタゴラスは対角線と一辺の長さの比率が黄金比(φ=1.618…)になる正五角形をこよなく愛したとの事、単純な形の中にこれほど興味深い性質を兼ね備えた正五角形は不思議な魅力を備えた形と言えそうです・・いわば地球上に生きる生物として、人間の深層心理に刷り込まれたDNA的な形なのかもしれません。 *正五角形の数学的・幾何学的神秘 先ほども述べましたが、見方によればスリランカも五角形・・ただならぬ魅力とパワーを備えた国なのかもしれません。その魅力とパワーを享受する国民はこの経済危機を神がかり的に乗り切れると信じたいのです・・子供達に明るい未来を残せるよう国民主導の政治に変えるべく、今は神がかりパワーを発揮する時です・・「身を捨ててこそ浮かぶ瀬も有れ」・・まさに正念場と言えるでしょう。 スリランカ国民の復活を願い、私も微力ながら頑張れればと思っています。 ●新着ニュース・アーカイブ ●Srieko ビジネスサポート ●Srieko Holidays🍂秋のプロモーションツアー 安全に旅してこそ楽しいご旅行 by Srieko Holidays 2022年7月1日 山倉義典

6月28日 日本大使館より注意喚起👦民衆抗議行動
先日の燃料一時販売停止及び再度のガソリン価格値上げに対し、民衆が怒りまくってます。
●燃料一時販売停止 必要不可欠なサービス車両以外は、7月10日迄燃料一時販売停止
●ガソリン価格値上げ(6月26日 am2:00~) ガソリン92オクターン=Rs470/リットル(前Rs420)・・・

2022年 6月 4日間 コロンボ視察ご出張
1名様 (日本在住)
お世話になっております。
お陰様で全ての用事を予定通り済ませ、帰国便のチェックインも無事終わりました。種々ご手配頂き誠にありがとうございました。
またスリランカへ戻って来た際には宜しくお願い致します。

6月23日 石油会社の闇、燃料利権でボロ儲けか!?🐶
各ガソリンスタンド経営者は、購入すれば必ず即日完売する燃料の確保に重点⇒優先供給リストに載せてもらうため、某社供給会社役員に1.5万ルピーと高級ウイスキー一本の賄賂を贈る⇒即日完売するので毎度賄賂を贈り次から次へとオーダー・・・

6月18日 デフォルトから1か月・・スリランカの今🐶
最近市民の笑顔が減って来てますね・・国がデフォルトして約1か月、国際金融市場から排除されつつあるスリランカでは外貨がほぼ枯渇し、他国からの援助や融資無くしては物も満足に買えない国になり果ててしまって、街中には長く続く経済崩壊による疲労感というか悲壮感が漂ってますワン🐶・・・

6月17日 渡航者へのコロナ保険加入義務の廃止
スリランカ保健省は、20222年6月17日にスリランカ渡航者へのコロナ保険加入の義務を廃止すると発表いたしました。
財政破綻をしているスリランカ政府は、外貨獲得の大きな柱である観光業の復活を経済復興の柱に上げており、渡航者に対して大幅な制限緩和を行っておりますが、今までコロナ保険加入は義務化されておりました。・・・

6月8日 アエロフロート機差し押さえ、他・・👨
いや~スリランカいろいろ起きますね・・特にデフォルト後、ラニル・ウイクラマシンハ新首相に代わってから、頻度が上がっている様な気が・・これも新政府が内外に対して激しく動いている結果なのかもしれません。アエロフロート機の差し押さえ命令から、IMF融資・・・

6月1日 オッ洒落~ランカのニュートレンド🐶
最近自転車乗る人増えたね~迷惑顧みず、狭い道を2列3列で並んで楽しそうに話しながら走る「ランカ流チャリ並走」も困ったものだけど、幹線道路の追い越し車線を堂々と走っている「ランカ流唯我独尊・迷惑チャリ」もあったりして・・・

Vol.124 – ガソリン価格推移から見る国民の困窮👦
最悪の経済危機に直面するスリランカは5月18日、30日間の債務返済猶予期間が過ぎ、遂にというかやっぱりというかデフォルトしましたね・・ デフォルト自体は4月12日の「対外債務の部分的支払い放棄宣言」で、外貨を必需品(燃料・薬・食料など)の購入に充て、対外債務は当面返済できないと政府が宣言した通りでしたので、既に市場は織り込み済みだったようです・・ 燃料など政策的な価格アップは若干あったものの、急激な通貨安などの混乱はありませんでした・・今年に入り、ほぼデフォルト状態で急激な通貨安や超インフレがおきていましたので、スリランカ経済は既にデフォルトによる混乱を先取りしていた感じでしょうか😊 さて、独立以来最悪といわれる経済危機の元凶「債務の罠」の現況を作った、ラジャパクサ一族のマヒンダ・ラジャパクサ元首相の退任を受け、5月12日野党UNP(United National Party)のラニル・ウイクラマシンハ氏が新首相(一つ前の連立政権を含め今回で2回目)として就任し、前首相の内閣が行ってきた杜撰な財政運営内容を「国民への約束」という形で明らかにしました。 歳入の割に歳出が肥大化しており、公官庁にさえ費用が支払われていない現状、燃料など補助金の垂れ流し、スリランカ航空など国営企業の赤字垂れ流し等々・・一般に公表された内容は一言で言うと「放漫財政運営」といって良いでしょう・・ 今回は放漫財政運営の中でも、市民生活に直結するガソリン価格の動向に特にフォーカスして、ここ一年の価格推移と当時の出来事を見ながら、あ~でもない、こ~でもないと話を勧めたいと思います。 ◆ガソリン価格(92オクターン)推移と当時の出来事 *黄色枠が92オクターン・ガソリン価格の推移 ①-2019年9月10日 1リットル137ルピー:ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領一族政権開始の直前の価格で、この時は原油価格が底値安定しており、それから 間もなくコロナ・パンデミックが始まった事から、その後2年近く価格は安定。 ②-2021年6月11日 1リットル157ルピー:コロナの終息が見え始め世界的に規制緩和が始まり、経済が動き始めた事によって原油価格が上がり始めた時期で、スリランカ政府がインフレ抑制の目的で、意図的にルピーの固定為替取引(USD1.0=200ルピー)を始めた時期に重なります。有識者が外貨準備高減に警告を出し始めた時期です。 ③-2021年12月20日 1リットル177ルピー:固定為替取引の影響で、ルピーの市場為替取引レートと固定為替取引レートのギャップが拡大、USD1.0に付き50ルピー以上と言われ、外貨(送金・投資・貿易)収入が急激に減り、外貨準備高は危機的状況になった時期です。 ④-2022年3月11日 1リットル254ルピー:外貨不足が激しくなり、長時間停電、ガス・ガソリンを始めとする燃料、医薬品、食料の不足と急激なインフレ、市場為替取引レートと固定為替レートのギャップに耐えられず、変動為替制へ急遽戻すも、急激なルピー安が進行し、それに伴いガソリン価格もアップ、一般市民は政府への抗議行動を始めます。 ⑤-2022年4月18日 1リットル338ルピー:ラジャパクサ大統領一族政権に対する市民の抗議活動が全国で活発になり、大きなデモ活動が行われ、次々に一族とその取り巻きが退任させられた時期、また4月18日は対外債務償還期限の日でしたが返済できず、30日の猶予期間に突入。ルピー安続伸。 ⑥-2022年5月24日 1リットル420ルピー:5月に入りラジャパクサ大統領の兄、マヒンダ・ラジャパクサ元首相がやっと退任し、新首相にラニル・ウイクラマシンハ氏が就任、前首相政権の「放漫財政運営」による危機的財政状況と問題点を国民に公表、この値上げは政府補助金の相殺調整(1リットル84ルピー)によると思われる。5月18日に30日の猶予期間でも対外債務を払えずデフォルト確定。 ●考察 *物価は上がれど、収入は上がらず・・ ①~⑥のデータから、ここ1年弱でガソリン価格は約3倍となっており、なるほど米・小麦・魚・肉などの基本生活必需品の物価上昇(約3倍~3.5倍)とほぼ一致します。一方、原油価格は一年前と比べルピー建てで約3.7倍になっていますが、ガソリン価格はそこまでアップしていない事から、精製に関わる人件費は相当抑えられているのではと予想され、「給料は推して知るべし」と言えるでしょう。 *1リットル500ルピーはすぐそこ・・ ⑥の政府補助金の相殺調整により、1リットル420ルピーとなりましたが、変なフィルターが無くなり、原油価格・為替を加味した真の実力値として今後のベンチマークとして使え、今後デフォルトの影響でルピー安進行、原油価格の更なる上昇が続くと・・例えばUSD1.0=400ルピー、原油価格1バレル=USD120になった場合、ガソリン1リットル500ルピー以上の時代がそこまで来ています。 ●市民生活の逼迫 スリランカ人一般中流家庭の月収が10万~15万ルピーと言われていますが、物価は1年前の3~4倍・・つまりは給料が差ほど上がらない=実質月収は三分の一から四分の一に激減しており、一般市民の生活苦が理解できます・・ ちなみに通勤などで車やバイクを使用することの多いスリランカ、一家でガソリンを一か月100リットル消費するとすると、その家計に占める割合は3~4割となり、他光熱費、教育費・食費・雑費を考えれば、これ以上のガソリン価格アップは、家計崩壊を意味します。 また、下層の家庭では既に一日一食の生活の家も出てきている事を考えると、待ったなしの状態と言えるでしょう。 そんななか、ロシア産原油を輸入というスクープが世間を賑わせていますが、スリランカは、ここ半年ほどインドから信用取引で原油・精製油を活発に融通してもらっていますので、国内で流通している燃料のほとんどは、インドから来てるとはいえども、ほぼ間違いなくロシア産・・既にロシア産にどっぷり漬かっている状況なのです。 また、ロシア産原油を積んだタンカーも、支払い待ちで数週間コロンボ港沖に停泊させられていたことを考えると、今さら「帰れ」ともいえず、どうしようも出来ない状況と言えます。今回の輸入は国際的道義上どうかと思われますが、短期的には安い原油の輸入は歓迎といったところでしょうか!?・・おかげで2か月以上停止していたサプカスカンダ精油所は5月28日より稼働再開できており、ガソリン不足も少し解消しそうです😊 ●今後の展望 新首相に就任したラニル・ウイクラマシンハ氏は経済相も兼任し、日本をはじめとする欧米諸国と対話、G7を始めとする各国からの経済援助の動きが活発化しています。一方、IMF再生プランについても、ラニル氏が経済相として交渉に当たっており、早ければ6月~7月に導入開始し融資が始まりそうです。😊 だだし直近で一番大事なのは、某国との蜜月の終わりと言える「債務の再編」と大型プロジェクトの一時休止を始めとする「緊縮財政」だと思います・・膨大な債務「債務の罠」を高金利で負っている以上、IMFの融資があろうと砂漠に水を撒くがごとしですので「債務の再編」は急務であり、また経済規模に基づいた財政再編「緊縮財政」も同様です・・ラジャパクサ一族が監修した飾られた経済成長(バブル)と決別し、自国経済の現状と実力を理解し足元を見つめ、分相応の生活を心掛けることが再生の早道かと思います・・30年続いた内戦中ですら市民の生活はいたって普通だったのですから・・ 住んでいる私が言うのは何ですが、東西のシーレーンの地政学上重要地点にあることから、東西文化が合流し融合してスリランカ独特の文化を形成しています。その2500年以上の文化と熱帯の大自然が奇跡的に調和するスリランカは魅力のてんこ盛りといって良いでしょう・・まだまだ捨てたものではありません・・ここ半年~1年程は本当に苦しい時間が過ぎるかもしれませんが、きっと日本を始め世界の国々からの助けがあれば復活できるはずです。 ラニル新首相の言う「この国すべての人々と、若い世代の未来を救うために」私も一助出来ればと思っています。 ●Srieko

5月30日 ガソリン価格推移から見る国民の困窮👦
ここ1年弱でガソリン価格は約3倍となっており、なるほど米・小麦・魚・肉などの基本生活必需品の物価上昇(約3倍~3.5倍)とほぼ一致します。一方、原油価格は一年前と比べルピー建てで約3.7倍になっていますが、ガソリン価格はそこまで・・

5月17日 スリランカ新首相の約束👨
政治・経済大混乱の中、退任した前首相のマヒンダ・ラジャパクサ氏に代わり、先週の5月12日(木)に野党UNP(United National Party)のラニル・ウイクラマシンハ氏が新首相として任命され、早速週明けの5月16日(月)に国民への演説を行いました・・・

5月10日 スリランカ再び外出禁止令 国家危機迫る
コロンボを中心に全国的に反ラジャパクサ派市民による大規模な抗議行動が平和的に行われていましたが、昨日マヒンダ・ラジャパクサ首相の退任で、親シンラジャパクサ派市民による、反ラジャパクサ派市民への過激な暴力行動が起こり、コロンボ市内は軍隊が出動する暴動状態・・・
